虚構の自民「圧勝」
2012年12月20日
総選挙で驚いたのは、自民党が今回、惨敗して政権を失った前回(2009年)よりもさらに票を比例で219万票、小選挙区で166万票も減らしたのに、議席は前回の119議席から175も増やして294議席を得たことです。
これは、投票率が下がったもとで、選挙区で1人しか当選しないため他の党の候補より少しでも票が多ければ議席を占め、全体では「総取り」となる小選挙区制のためです。今回、小選挙区では4割の得票で8割の議席を占めたといわれています。
得票数(比例)だけで議席を配分すれば、自民党は133議席、共産党は約30議席になります。
つまり小選挙区制では民意は反映しません。総選挙後、見直しが必要との声がいっせいに上がっているのは当然です。
民主党は前回から251議席も減る大敗。いうまでもなく、民主党政権が国民の期待を裏切ったことへの有権者の怒りと失望の表れです。
では、前回民主党に入った票は今回どこに行ったか。
「民主がダメだから自民に消極的支持が集まった」という議論がありますが、これは不正確です。大ざっぱにいうと、自民党も票を減らしているので自民党に行ったわけではない。棄権したのと維新など他党に流れたわけです。
要するに、自民も票を減らしたが民主がもっと激しく減らしたため、相対的に第1党となった自民が小選挙区制のマジックによって「圧勝」したということです。
いずれにせよ、自民党に期待が集まったわけではありません。安倍さん自身も認めています。
ましてや、原発推進、消費税アップ、憲法9条を変えて海外で戦争できるようにするといった自民党の政策や立場が、国民に支持されたのでは決してありません。これらの問題での民意は自民党の主張とは全く違います。
再び自公政権に戻りますが、前回とは大きく違って国民の期待が薄い政権交代です。実行する政策も財界・アメリカの利益に忠実なものばかりですから、早晩国民から見離されて政権はゆきづまるでしょう。
選挙後さっそく、安倍さんは「憲法改定で維新、みんなの党と連携できる」と改憲へふみだす発言をしました。新たなたたかいが始まります。