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1年

2012年03月14日

   3・11。あの日から1年。

 当日どうしていたかというと…。

 私事で恐縮ですが、上の子が9日からインフルエンザにかかり、下の子も11日朝から調子が悪そう。
 「しんぶん赤旗」記者の夫は「今日は絶対に休めない。どうしても取材せんとあかん。すまん」と言って、朝から出ていきました。

 昼前に京都から母が来てくれ、上の子を看てもらっている間に下の子を小児救急に連れて行き、検査してもらったら、案の定インフルエンザに感染していました。
 上の子は感染確認後3日目だというのに症状が改善せず「苦しい」と訴えるので、夜に同じく小児救急に行き、点滴を打ってもらいました。

 こういう大変ななかで、10日は市民団体の脱原発集会であいさつする予定でしたが行けなくなり、メッセージを送るだけになりました。
 11日は母が来てくれたので、何とか短時間だけ、三宮・東遊園地で開かれた集会「『あれから1年』集会 震災復興・原発ゼロへ 兵庫から想いを寄せて」に参加しました。

 壇上から画家の増山麗奈さんが、今も続く放射能汚染の危険や脱原発を訴えていました。
 増山さんは、イラク戦争のとき、「ピンクゲリラ」と名乗ってビキニ姿で反戦デモをして一躍有名になったツワ者。3・11後、東京から西宮に移住し、いまは母親の立場から放射能から子どもを守る活動を展開しておられるそうです。
 「偉い人が解決してくれる時代ではない。私たちが頑張って原発を止めましょう」と熱く訴えられました。うん、同感。

 その次に原爆被爆者の女性の方が、「福島の女子高生が『私たちは将来、子どもを産んでもいいんでしょうか』と話しているのを聞いて、ああ、50年前の私たちと同じだと思った」と発言。胸に突き刺さりました。 

 地震が起きた午後2時46分、黙とうを捧げました。

 犠牲になった方がたの無念の気持ちに常に思いをはせ、生きていかなくてはと思います。
 重いことですが、それが阪神・淡路大震災も体験した私自身の責務というか使命というか、漠然とながらそんな風に思っています。

11日は三宮・東遊園地で開かれた集会に参加しました。

◆1年で感じること

 阪神・淡路の経験から、ずっと気になっていたのが、生き残った被災者の方々の生活と生業の再建です。

 ところが、避難所や仮設住宅で発見された自殺者が55人、仮設住宅の孤独死は22人にのぼることが報道されていました。
 自宅の再建、事業所の再建が難しい、仕事がない、漁業の水揚げ量が回復しない(宮城県の気仙沼、女川、石巻の3港はいまも7割減。船が足らず、魚を加工・冷凍する工場が復旧しないため)……。これらは、各紙の被災者アンケートでどれも高い割合です。

 漁業を除けば、阪神・淡路のときとほとんど同じ姿です。

 確かに、阪神のときとは違って公的支援の制度は前進していますが、被災者が生活と生業を再建できる水準ではない。使い勝手の問題もあると聞きます。

 そのうえ、野田政権は消費税を10%にしようとしています、そして農林漁業を壊すTPP(環太平洋連携協定)に参加しようと。

 阪神のときも、震災の2年後の1997年に消費税が5%に引き上げられ、それによって引き起こされた大不況で被災者、特に被災業者が大打撃を受けました。あのとき「立ち上がろうとしているときに頭の上にハンマーを振り下ろされたようだ」と言った人がいました。
 今度はもっと大幅な税率アップです。被災地がどうなるか、推して知るべしですよね。
 
 いろんな状況があまりにも阪神・淡路と似ています。

 消費税増税にしろTPPにしろ、被災者は誰も望んでいません。要求しているのは財界とアメリカです。
 お金があり余っている大企業、富裕層に増税して応分の負担をさせれば社会保障を守れるのに、2012年度も大企業には減税がされます。 

 一方、原発問題。
 政府は、あれだけの大惨事が起きた後なのに、停止中の原発を再稼働させようとしています。特に福井の大飯原発3・4号機を。

 事故原因の解明も、安全性の確認も、防災対策もできていません。ストレステスト(1次評価)については、原子力委員会の斑目委員長が「安全評価としては不十分」と言っています。
 大飯原発は付近を走る3つの活断層の連動地震の可能性が指摘され、その影響を調査中なのに、もう再稼働という話になっている。

 こういうなかで、安全という点では何の保証もないのに再稼働へむけて「政治判断する」という野田首相の態度は、もう常軌を逸しているというほかありません。 
 もし大飯原発など福井の原発で事故が起きれば、関西一円に汚染が広がります。

 また政府予算案で、この期に及んでも原発推進予算が4200億円も計上されています。

 こうした政府の姿勢に、やはり喜ぶのは電力会社です。

 結局、誰のための国なのか、誰のための政治か、ということです。
 「統治機構を変える」という人もいますが、統治機構の問題ではないでしょう。
 財界とアメリカのための政治を断ち切り、国民のための政治に変えることこそ必要だと思います。

 被災者の暮らし再建を最優先した本当の復興と、原発ゼロを実現するたたかいは、国民のための政治、国民が主人公の日本に変えてゆくことに直結します。 
 
 作家の小田実さん(故人)が言った「人間の国」をめざすたたかいです。
 私も、その中の1人であり続けたいと思います。


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