新「オール与党」① 維新の党
2015年03月28日
地方議会の「オール与党」というと、首長提案に何でも賛成の党として、以前は主に自民党と公明党、民主党の3党を指していましたが、現在の兵庫県議会や神戸市議会では、維新の党と地域政党・神戸志民党もその仲間入りをしています。
自民、公明、民主はそれなりに知られていますが、兵庫での維新と志民党は実態がよく知られていません。しかも、この新「オール与党」2党は改革者ポーズ、野党的ポーズを取っています。
そこで、実際はどうなのか2回に分けて見てみます。県・市議選にあたって、読者の皆さんの参考になれば幸いです。
まず維新ですが、「身を切る改革」とさんざん叫び、議員報酬や議員特権を削減するかのように見せかけていますが、実際にやっていることは正反対です。
同党は、「企業・団体献金禁止法案」を2月に国会に提出しましたが、形を変えた企業・団体献金である政治資金パーティー券購入は野放しというもの。さらに企業・団他献金禁止と引き換えに、最大の政党・議員特権である政党助成金の増額を主張しています。
◆議員ボーナス引き上げに賛成
また兵庫県議会と神戸市議会で昨年12月、維新の県議・市議は自民・公明・民主などが提出した議員の期末手当(ボーナス)引き上げ議案にそれぞれ賛成。維新神戸市議は共同提案者にまでなりました(共産党はいずれも反対)。議員報酬の削減を主張しながら引き上げに賛成するという態度に、維新支持者からも批判が集中しました。
これがよほどこたえたのでしょう。これまで県議会の維新は知事提案の議案に100%賛成でしたが、2015年度県予算案は、福祉切り捨ての県「行革」を賛美しながら、知事など特別職の給与引き上げだけを理由に反対しました。
しかし、これまで知事提案にすべて賛成してきたこと、期末手当引き上げに賛成した事実は消えません。予算案への態度を表明した予算特別委員会では、与党席から「自分の給料はいいのか」「共産党の方が筋が通っている」とのヤジが飛んだそうです。
そうかと思うと、高い費用弁償(議員が議会に出席するときの交通費)を実費支給に改善する条例改正案に、反対討論をせず理由を明らかにしないまま反対しました。実費支給は日本共産党が強く主張してきたもので、維新だけの反対で改正案は成立しましたが、「維新は議員特権にしがみついている」と言われても仕方ないでしょう。
神戸市議会の維新は2015年度市予算案も賛成し、市長提案議案に100%賛成が続いています。
ちなみに市民オンブズマン尼崎の調査によると、任期途中で県議を辞め、維新の衆院議員に転身した新原秀人氏(昨年12月に衆院選落選、現在、兵庫区で神戸市議候補)は、任期中の21回の県議会常任委員会で一度も発言せず、同オンブズマンから「すごい記録の持ち主」と評されています。
もう一つ言うと、維新の橋下徹・大阪市長は1月15日、「憲法改正は安倍総理にしかできない」と安倍首相を持ち上げ、「憲法改正は絶対必要。できることがあれば何でもする」と宣言。大阪市を廃止する「大阪都」構想の住民投票を、改憲を問う国民投票の「予行演習ですよ」とまで言っています。
安倍政権の補完勢力、別働隊であることは明らかです。