第321回臨時県議会・本会議
2014年02月07日
私は日本共産党県会議員団を代表し、議案第109号、「平成25年度度兵庫県一般会計補正予算」と、第113号、「緊急雇用就業機会創出基金等設置条例の一部を改正する条例」制定の件、第114号「農業構造改革支援基金条例」の3件について反対し、以下その主な理由を述べます。
【国民むけの応援より、大手企業向けの国補正予算】
まず、今回提案された補正予算は、安倍内閣の「好景気循環のための経済対策」に沿ったもので、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が懸念される」中、「緊急経済対策の効果を早期に出現させる」という位置づけです。
しかし、もっとも景気回復の足を引っ張る消費税の増税による影響は避けられません。8兆円もの負担増にもかかわらず、国の補正では、一人一万円の臨時福祉給付金などがあるぐらいで、庶民むけ、国民むけの暮らしを応援する対策は、ほとんどありません。
その一方で、震災復興の財源に充てる特別法人税を前倒しで廃止するなど、大手企業向けには消費税対策は盛りだくさんです。
今回の一般会計と特別会計の補正予算は606億円ですが、そのうち503億円、83%が公共事業で、これで「好景気循環」を図ろうとするのものです。その中には、もちろん、防災や老朽化対策の面で必要な事業も含まれますが、不要不急の事業も押し込まれています。公共事業での景気浮揚効果は、効果が一時的なものにとどまる上に、大きな借金を生み出すことは、いまでは当たり前のこととして広く認識されています。
肝心の国民の賃上げが実現されなければ、「好景気循環」も絵に描いた餅であり、大企業は、ためこんだ272兆円もの内部留保のほんの一部を活用しただけでできる賃上げさえも渋っているのが現状です。ここを改めることこそ、いま政治に求められていることを強調したいと思います。
次に、具体的に問題点をあげます。補正の公共事業の内容には、余部道路や浜坂道路のインターチェンジアクセス道路や、ゼロ国債には浜坂道路、ゼロ県債には新名神高速道路にともなう川西インター線、10億2千万円の国直轄事業の負担金など、過大性や必要性などに疑問のある事業が含まれています。
また、臨時福祉給付金、子育て世帯臨時特例給付金に係る事務費は、国、市町との連絡調整や広報に係る費用の予算ですが、低所得者や児童手当受給者というごく一部の世帯に一人1万円を一回限り支給するものです。これでは、圧倒的な庶民は重い負担となる消費税の矛盾、影響を解消することはできません。そもそも、所得の低い人ほど負担が重い最悪の不公平税制である消費税の増税こそやめるよう、今からでも求めるべきであり、反対です。
【雇用実績の必要のない、問題のある事業】
緊急雇用就業機会創出事業に、新しく「地域人づくり事業」が付け加えられ、50億円の基金を積み増し、条例の改正も提案されていますが、これまでは、短期であっても、実際の雇用の実績が必要であったことに対し、今回の事業は、雇用実績の必要のない、民間会社のセミナーなどにも補助される事業となっています。雇用効果などの検証もされず、問題のある新規事業であると考えます。議案113号「緊急雇用就業機会創出基金等設置条例の一部を改正する条例」についても反対です。
【農地中間管理機構での農地集積・大規模化をすすめる補正予算】
農業分野では、コメの生産調整・減反をあらためて、農地の集積・大規模化をすすめるための「農業構造改革支援基金」の8億7千万円を新規に積み立て、みどり公社が「中間管理機構」として、その基金を使って、農地を提供する農家1戸あたり、貸出面積に応じて30万円~70万円の協力金を支給することになっています。政府がTPP参加を見据えて「日本再興戦略」に位置づけたこのような対策で、全農地面積の8割を担い手に集約し、米の生産コストを4割削減、法人経営体を5万にするとうたっていますが、優良農地への本格的な企業参入をすすめることで、農村や中山間地の荒廃を助長しかねず、農地の集積に際し、農業委員会を、事実上排除する問題や、耕作放棄地対策としても疑問があります。
後継者の問題など深刻な農業の現状を放置したまま農地を集積しても解決にはなりません。農業を継続できるような価格と所得両面での支援をもっと強化すべきであることから、第114号「農業構造改革支援基金条例」についても反対です。
以上の理由から、第109号議案、「平成25年度度兵庫県一般会計補正予算」に反対いたします。
【共済よりも、被災者への公的支援の拡充を】
なお、一般会計補正予算の中にある「兵庫県住宅再建共済制度改正に伴うシステム改修事業費」と、「兵庫県住宅再建共済制度の条例の一部を改正する条例」について、損害割合10%以上の一部損壊を共済制度の給付対象にすることに賛成しますが、災害の被災者支援で求められているのは、公的支援の拡充であることを指摘いたします。2004年の台風災害の時には、兵庫県として、独自に住宅再建支援金として上乗せを行い、損害割合10%以上20%未満の床上浸水被害家屋へ25万円の支援を行いました。このような過去に実績のある公的な被災者支援の復活こそ必要であることを申し添えます。
以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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