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第319回本会議

10月1日 一般質問…消費税増税、ブラック企業、学童保育、中学校給食、通学区拡大、神戸空港等運営権、借り上げ住宅

2013年10月01日

 日本共産党県会議員団のきだ結でございます。7月の参議院選挙後、消費税増税・社会保障負担増・集団的自衛権の容認など憲法改憲・TPP交渉・原発再稼働など、安倍内閣の暴走が加速しています。どれもが、この国のあり方を根本から変え、命とくらしを脅かす危険なものばかりです。
 国の悪政から防波堤となって県民の命と暮らしを守り、福祉の向上に努める県政を求め、以下質問いたします。

【消費税の4月増税の中止を】

 まず来年4月からの消費税増税についてです。
 ある飲食店は「燃料や材料の支払いが4割増え、値段に転嫁もできず、苦しい。増税されたら、お店は続けられません」と訴えておられます。また、高齢者も「少ない年金が10月からまた下げられるのに、増税されたら、本当にどうやって生活していけばいいのか」不安が増大しています。
 私たち日本共産党は、弱者ほど負担が重い消費税増税でなく、大企業と富裕層への減税と優遇措置をやめて、応分の負担を求める税制改革、「消費税に頼らない別の道」を具体的に提案してきました。
 しかし、安倍内閣は、税率5%から8%への引き上げを予定どおり4月から実施し、同時に法人税減税や公共事業のバラマキ、低所得者に一時金支給など、5兆円規模の経済対策を行うとの方針です。
 今年4月から6月期の経済指標で、「経済状況の好転」が裏付けられたとしていますが、雇用の約8割を支える中小企業の実態は、設備投資額が前年度比9.8%減少する計画で、事業展開の融資は前年同期比で50%に留まっており、極めて厳しい状況です。労働者の年間平均給与も1997年から年間59万円も減小し、国民の暮らしは長期にわたって困窮しています。ここで、消費税が増税されれば、暮らしも経済も財政も大きな打撃となることは明らかです。
 知事は兵庫県財政の悪化について、記者会見で、「経済が伸びず、逆におちこんでいるので、税収が伸びない」と述べています。財政再建のカギは、実体経済が成長して、県民の所得が増え、税収がのびることです。知事は地方財源の充実などを理由に、消費税増税を国に求めてきましたが、いま、兵庫県経済をさらに悪化させれば、県財政も県民の暮らしも守れません。
 世論調査でも「来年4月から予定通り実施すべき」という意見は2割程度で、「行うべきでない」「先送りすべき」が7割を超えています。消費税増税は必要という人たちからも、「いまはあげるときではない」という意見が多数あがっています。
 そこで知事、県民多数の声を受け入れ、来年4月からの消費税率引き上げは中止するよう、政府に対し、要請することを提案しますがいかがでしょうか。

○井戸知事答弁:
 まず消費税の引き上げについてです。地方公共団体は長引くデフレ経済のもと、税収が伸び悩み、国を上回る行革努力を重ねることで、社会保障施策の経費の増高などに対応してきています。地方財政全体としては大幅な財源不足が常態化しております。臨時財政対策債などの借入金で対応せざるを得ない状況が続いています。すでに国・地方の債務残高は、約1千兆円、地方だけでも約200兆円となっており、単に歳出を切り詰めるだけでは抜本的な解決は困難です。そのため、社会保障の安定財源の確保と財政の健全化を同時に達成することをめざす観点から、消費税地方消費税率引き上げは不可欠のものと考えています。
 共同通信のアンケート調査の結果でも、回答がありました30の知事のうち、27の知事は、4月に引き上げることを賛成しております。ちなみに、アベノミクスの効果もあると考えておりますのが、45知事のうち42知事であります。また、消費税率の引き上げにあたっては、名目及び実質の経済成長率、物価動向、種々の経済指標を確認して経済状況等を総合的に勘案したうえで行うこととされてきました。
 引き上げに際しましては、社会保障制度改革の早期の具体化、デフレ脱却に向けた経済対策、低所得者への配慮、消費税・地方消費税の円滑かつ適正な転嫁のための対策など中小事業者への配慮などについて対策を講じるよう政府に対しても申し入れております。
 本日夕方には安倍総理が記者会見を行い、来年4月からの消費税率の引き上げと、増税に対応する経済対策を発表されると聞いております。経済対策としてはまず低所得者への一定額の給付、二つとして復興・防災対策などの公共事業の実施、三つとして設備投資減税や給与を増加させた企業に対する減税の拡充、四つとして住宅購入支援策などを提示するといわれています。今後は社会保障財源が充実されるとともに、これらの経済対策により景気の腰折れが回避され、成長戦略がより確実に実現することにより、当初の目的が達成されることを期待したいと考えております。

【ブラック企業の根絶を】

 次に、「ブラック企業根絶」についてです。
 若者を正社員として大量に雇い、過大な仕事や長時間労働を強いて、ときにはうつ病や自殺にいたるほど心身を疲弊させ、短期間で使いつぶす「ブラック企業」の問題が、参院選でも争点になりました。
 国が先月1日に全国労働相談を実施したところ、全国1042件。近畿では200件にのぼり、そのうち賃金不払い残業が111件、長時間・過重労働が80件、パワハラが32件というものでした。
 私も、県内でアンケートにとりくみ「毎日11時間労働で残業代は出ない。ほとんどが3年以内に退職し、同期は8人辞めた」という青年や、「娘が居酒屋の店長をしているが、朝7時に出て、帰るのは早くて夜十時。心配でたまらない」という家族の声などを聞きました。
 ある25歳の女性は、介護職としてワタミに就職したのに、研修だとして居酒屋に配属されました。片付けが終わると電車がないので店で仮眠し、始発で自宅に戻り、また出勤という毎日に疲れ果て1年足らずで退職。一度も介護の仕事をすることはありませんでした。
 国は、80時間を超える時間外労働を「過労死ライン」としていますが、「ブラック企業」はこれをはるかに超え、「仕事が終わらないのは君のせいだ」と残業を申請させなかったり、基本給に残業代が含まれているとして低賃金しか払わない「みなし労働」の悪用などで残業代を払わずにすませています。
 こんな違法がまかり通る背景には、派遣労働の拡大で、若者の2人に1人が非正規労働者として年間200万円にも満たない低賃金と不安定な身分で働かせられていることがあります。そのもとで、何でもいいから正社員に、という若者の気持ちを逆手にとり、「ブラック企業」が横行しているのです。
 根本的には、長時間労働の法的規制や労働者派遣法の抜本改正が求められます。また、離職率の高い企業の調査と公表、採用募集時に離職率の明示を義務付けるなどの緊急策も必要です。
 いま国が離職率の高い企業など約4千社に立ち入り調査を行っていますが、一時的なものにせず継続し、県としても取り組みを進めるべきです。
 知事は、先日の本会議で、若者の雇用について「根強い大企業志向や未成熟な就職観」などと若者側に問題があるかのような答弁をされましたが、企業の違法・無法な働かせ方を是正することこそ必要ではありませんか。
 そこで、労働局と連携し、離職率の高い企業名の公表や、違法行為の是正を求めること。県経営者協会に対し労働法制の遵守の徹底を求めるとともに、若者しごと倶楽部などに働くルールを知らせる冊子を置いたり、教育委員会などと連携して、若者に労働者の権利の啓発を進めることを求めますが、いかがですか。

○石井産業労働部長答弁:
 ブラック企業の根絶につきまして私から御答弁いたします。
 企業が労働関係法令を遵守することは当然の責務でございまして、若者等の労働者を使い捨てにするような劣悪な雇用管理を行いますいわゆるブラック企業対策は重要な課題であると認識しております。国では、9月を過重労働重点監督月間と定めまして、労働局や、労働基準監督署におきまして、集中的に指導監督を実施しているところでございます。過労死等を起こしました企業等に対しましては、再発防止の徹底に取り組みますとともに、重大・悪質な違反が確認されました企業等につきましては送検をし、公表することとしているところでございます。
 県におきましても、兵庫労働局との連絡会を開催するなど、連携を密にいたしますとともに、ワークライフバランスの推進や、国が進めております、若者の採用育成に積極的な若者応援企業の周知に努めるなど、若者が生きがいをもって働くことが出来る環境の整備に取り組んでいるところでございます。
 また、この取り組みにあわせまして、先月知事名で、県経営者協会に対しまして、賃金不払い残業や若者の使い捨ての防止の取組につきましてあらためて要請を行ったところでございます。さらに、若者しごと倶楽部におきまして、若者の就労についての理解を深めるため、すでに労働関係法令の基礎知識等の冊子を配布しているところでございますが、今後、教育委員会や、経済・労働団体等々と連携いたしまして、キャリア教育にとりくむなかで、働くルールの周知を図ってまいります。
 今後とも兵庫労働局等との連携を密にいたしまして、こうしたとりくみを着実に実施いたしまして、若者が適正な労働条件のもとでいきいきと働くことが出来ますよう、労働環境の実現に努めてまいりますのでどうかよろしくお願いいたします。

【学童保育の充実を】

 次に、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育についてです。
 学童保育は、児童に「生活の場を与えて健全な育成を図る」ものとして、ますます役割が高まり、県内の利用児童は34,456人と5年間で2,357人増えています。
 しかし、課題山積です。ある学童保育所では、障害のある子、発達障害の傾向がある子数名を含む約60名を預かり、まったく人手が足りません。また「詰め込み」も改善されず、35名を超える保育所が全体の約6割、70名を超える大規模保育所も60箇所にのぼります。
 また、保護者が共同で運営している神戸の地域学童保育所では、運営費補助では全く足らず、また多くが民家を借りて行っているため家賃がかかり、高い利用料となり、家賃の不要な保育所とでは月約1万円も差があります。厳しい運営を強いられ、指導員は低賃金でやりがいは感じていても続けられない状況です。
 原因の一つは、設置・運営の基準がないことです。私たちは、県独自の基準をつくるよう求めてきましたが、つくられていません。
 そればかりか県は、財政支援を「行革」で削り、土日の開設に対する助成をなくしました。国庫補助のメニューには、土日の開設に対して1日当たり1万4千円の加算があるのに、県は3分の1の随伴補助の負担を避けるため、国に対し要求もしていないのです。そのため、土日の開設に対する助成を行う市町は、全額を単独で負担しなければなりません。
 このような中、「子ども・子育て支援法」がつくられ、学童保育は、13の「地域子ども・子育て支援事業」の一つとして、市町が実施します。
 最低基準も市町がつくりますが、指導員の資格と人数は国が「従うべき基準」として一律の基準を示すものの、子どもの定員や開設日数・時間などは市町が定めるので、市町間格差が懸念されています。
 最も心配なのは、財源の確保です。国・県・市町が3分の1ずつ負担していた学童保育の国庫補助制度は廃止され、新制度では、交付金として市町に交付されます。そのため、十分な予算がまわらなければ、基準の切り下げや指導員の待遇悪化が今以上に進みかねません。
 今基準策定に向け、各市町がニーズ調査をしていますが、学童保育に関するのは、入学後の利用希望の有無ぐらいしかありません。これでは、必要な条件整備など、ニーズを十分に把握できないのではないでしょうか。
 そこで、県として現状や関係者の要望把握を行い、学童保育の量と質の確保に必要な基準と条件整備を県の「子ども・子育て支援事業計画」に位置づけるとともに市町にも示すこと、そして土日の開設に対する助成を復活させるとともに、新制度のもとで県の財政措置を抜本的に拡充することを求めますが、いかがですか。

○井戸知事答弁:
 続きまして放課後児童クラブについてです。いわゆる小1の壁といわれるように、就学児童の放課後対策のニーズは高いと考えます。現在児童クラブは853、子ども教室は478、設置されていますが、未開設校区や待機児童もあることから、今後も設置をいっそう促進する必要があります。そのため、保育所や幼稚園の活用も含め、多様な受け皿を用意して対応する必要があります。
 土日の開設に伴います加算については、週休二日制が一定程度普及したことを踏まえて、平成19年度に国が基準開設日数を年間280日から250日に見直しました。これをうけて、県が利用状況を調査したところ、登録児童のうち、土曜日に児童クラブを利用する児童の割合が平日利用児童に対しまして14.5%と低かったことから、県としては、平日の児童の受け皿を増やすことに優先的に取り組むこととして、平成20年度から補助の対象外としたものです。
 平成27年度から実施予定の子ども・子育て支援新制度では、放課後児童クラブの指導員数や開所日数などは、市町が国の省令に基づき条例に定めることになります。したがって、県は市町の計画策定に広域調整を行う立場から助言・指導を行い、市町間のサービス水準のバランス確保に努めてまいります。また、県の策定する「子ども・子育て支援事業支援計画」のなかで、指導員の確保や資質の向上に資する方策について検討してまいります。
 児童クラブに要する費用につきましては、子ども・子育て支援法にもとづき、消費税の充実を財源として、国及び県が市町に交付金を交付することとなりますが、全国知事会を通じて、補助基準額の引き上げなど、実態に応じた費用を保障するしくみするように働きかけております。設置運営に関する基準や、交付金の対象経費など、制度の詳細については現在、国の社会保障審議会等において議論されており、県としてはその状況を見守りながら対応してまいります。

【中学校給食の実施の支援を】

 次に県内の全公立中学校に充実した給食実施のための支援についてです。
 2年前の当選直後の一般質問でも取り上げましたが、それ以降、稲美町、明石・芦屋・神戸市で実施が決定され、伊丹・川西・加古川・高砂市では現在実施に向け検討が進められています。中学校給食実施を求める声はどこでも切実で、私の地元、神戸市でもこの2年間で8万筆以上の署名が集まるなど運動が大きく広がり、ようやく実施が決まりました。
 しかしこうしたもとで大きな問題が2つ浮かび上がっています。
 1つは実施時期の問題です。
 現在実施を決めている、あるいは実施に向け検討している市町も、財政難を理由に早期実施に踏み切ることができていません。
 全国で一番遅れていた大阪府は2011年、施設整備の実額に対する定率補助と、消耗品への定額補助などの補助制度を作ったことを前回の質問で取り上げましたが、この制度を利用し、全校給食を行っていなかった府内の32市町村全て(政令市の大阪市、堺市を除く)で2016年度までに全校給食を実施することが決まりました。府の補助制度が市町村の背中を押し、早期実施につながったのです。兵庫県でも県の支援が必要です。
 もう1つの問題は実施方式についてです。
 今実施を決めている市町はほぼ全員喫食の方針ですが、中学校数で全県の4分の1を占める神戸市では、「全員喫食を基本に」としながら、「家庭弁当持参も認める」という事実上「選択制」となるデリバリー弁当給食の方針です。
 この方式で2004年から開始した姫路市では、利用率が20%前後と低く、これでは食育が成り立たないと、全員喫食に向けデリバリー弁当をやめるなどの見直しが昨年から行われています。
 他にたつの市、和歌山市などどこでも10~20%の利用率しかなく、2年前に導入を決めた大阪市も24区全てで全員喫食へ見直しを進めています。
 県も、選択制の給食については「家庭弁当も残った状態で給食を注文しにくく」「クラスが給食を注文する子としない子にわかれ、給食を活用した食育を行えない」と、市町に対して「全員を対象とするよう」助言をしていますが、最終的には市町任せの姿勢です。このままいくと大阪市はじめ他都市が見直している方式を神戸市がなぞることになります。
 学校給食法では「国および地方公共団体」は「学校給食の普及と健全な発達を図るよう努めなければならない」と定めています。教育としての食育が保障されうる方式で給食を実施するよう、神戸市に対して、はっきりと選択制デリバリー弁当はやめ全員喫食で行うよう強く指導・助言を行うことを求めます。
 そして県内の全中学校で自校調理方式など充実した給食を早期に実施できるよう、国庫補助への上乗せをふくめた施設整備に対する補助、人件費など運営経費に対する支援など、財政支援を行うことを求めますが、いかがですか。

○高井教育長答弁:
 学校給食は学校給食法で学校設置者が実施するものと定められておりまして、設置者であります市町教育委員会が保護者の意向や地域の実情、教育的効果等を総合的に判断のうえ決定し実施するものです。
 神戸市の中学校におけます給食の導入方式につきましては、ひとつには選択制デリバリー方式採用による給食の早期実施のメリット、ふたつには施設整備をするとした場合の用地の確保の問題や財政面への影響、三つには体格差の大きい中学生段階におけます食事内容への対応、四つには保護者への感謝の念をはぐくむといった家庭弁当の有効性など、地域の実情をふまえて検討会や市教育委員会で十分議論された結果とお聞きをしています。
 また、施設整備等に要する経費について助成の提案がございました。本来その経費は設置者が負担すべきものとされておりまして、あらたに学校給食を始める場合には、国の学校施設環境改善交付金制度を活用いたしますと、対象経費の2分の1以内の額が国から交付されますことから県教委としては、市町教育委員会に対し、その積極的な活用を助言しています。
 なお、本年9月時点で県下41の市町のうち、約8割に当たります32市町が県の補助なしですでに学校給食を実施しておられますので、この時期に県単独の財政支援制度を新たにつくるということは公平性に欠けるものではないかと考えます。今後とも食育の推進や保護者の意向、地域の実情等を十分にふまえて学校給食の実施方法を検討するように市町教育委員会に助言をしてまいります。

【序列強化の通学区拡大の凍結を】

 次に、公立高校の通学区拡大問題についてです。日本共産党議員団は、当事者である生徒・保護者、地域住民、教職員の参加が保障されず 傍聴もできない「検討委員会」で決められたこと、実施によって競争の激化や高校のさらなる「序列化」がもたらされることを指摘し、その白紙撤回を求めてきました。
 ところが県教育委員会は、半数を超える市町議会から上げられた反対の意見書を無視し、2015年度より現行の16学区から5学区への拡大を強行しました。
 県教委は、行きたい学校に行けると説明していますが、「行きたくても、行けなくなる」「学力で選別され、遠くの学校に通うケースが増える」など不安の声が続出し、「計画を中止すべき」との声があがっています。
 そのような中、元兵庫県教育長の栗原高志氏が理事長をつとめる一般財団法人「兵庫県進路選択支援機構」が7月末に設立され、学区拡大にあわせて「序列化は避けられない」として、「県内の全中学生対象に統一模試を実施」することを発表しました。この「支援機構」の登記簿によると、役員に名前を連ねているのは、報道されている貝原前知事、県教委OBだけでなく、塾経営の創志学園理事長や梶田叡一氏も含まれています。梶田氏は、県高等学校通学区域検討委員会等の委員長として学区拡大を率先して推進してきた人です。さらに驚いたことに、梶田氏は、受験産業の創志学園グループの教育経営顧問までつとめているではありませんか。
 高校改革をすすめてきた検討委員会の委員長が、受験産業と深くむすびついている。高校改革の本当のねらいはここにあったのか、父母や生徒、教育関係者が、疑念を抱いても当然です。
 学区拡大により選択肢が増えるどころか、統一模試をして行ける高校を探らなければいけないほど競争や序列化が進むということを自ら示した形です。
 県教育委員会は「支援機構とは一切関係ない」と言われます。そうであるならば、関係する梶田委員長は、検討委員から即刻外すべきです。そして、序列強化の統一模試の動きを、市町の教育委員会も含めて、公教育の場に持ち込ませないことを徹底することを約束してください。
 中学受験生を犠牲にし、教育現場を混乱に陥れ、競争を激化させる通学区拡大方針は、いったん凍結し、幅広く県民の意見を聞き、再検討すべきと考えますがお答え下さい。

○高井教育長答弁:
 通学区域の拡大はかねてから申し上げておりますように生徒にとって多様な選択肢を確保するとともに、魅力ある高校づくりをさらに進めるためでありまして、検討作業の各進捗の段階におきまして、市町教育委員会、中学校長会、高校校長会、PTAなどの関係機関からの意見聴取や、パブリックコメントを実施するなど、広く県民からご意見をいただいて、その意見を踏まえて、例えば改変の実施時期の変更、その他校希望制度の廃止、総合学科等の複数志願選抜への組み入れなど種々の修正を加えながら慎重かつ着実に進めてまいりました。
 この結果、現段階におきましては、市町教育委員会からは学区改変についての反対はなく理解を得られたものと考えてございます。現在はその円滑な導入に向けまして、関係機関と連携して取り組んでいるところでありまして、保護者対象の説明会の開催、パンフレットの配布などによる広報、中学・高校間の連絡会議、中学校間の進路担当者会の情報交換、オープンハイスクールの実施、進路指導の前倒し実施等の対策を進めています。今後とも生徒が安心して受験に臨めますよう引き続き準備に万全を期してまいります。
 これに関連してご指摘のありました一般財団法人「兵庫県進路選択支援機構」ですけれども、受験生の競争や序列強化を意図するものではなく、中学生が自らの生き方について共に考える場や機会を提供するためのフォーラム開催や情報提供などの中学生への進路指導が適切に行われるよう支援することを設立目的とする財団であるという風に私は伺っております。しかしながら、そういう目的であったとしても同機構が計画しておられます統一テストにつきましては、あくまでいわゆる業者テストの一つに分類されます。業者テストによる偏差値等に依存した進路指導は行わないよう求めます平成5年の文部省通知の対象となるものであります。したがってこの趣旨を市町教育委員会を通じて各学校を指導してまいります。
 あわせて梶田委員長に関する話がありました。同氏は教育に対する高い識見と専門性をお持ちであり、加えて中央教育審議会の副会長と国の重要な会議の委員を歴任され全国の教育改革の動きも把握されていることから委員として適任であると考えてございます。

【神戸空港と新関空株式会社の運営権民間売却問題について】

 次に、神戸空港と新関空会社の運営権売却の問題についてです。
 1999年1月の「神戸空港ニュース」では、空港建設によって「所得と雇用が増加」し「市税が300億円増収になり、福祉・教育が充実」と、バラ色に描いていました。
 しかし、実際には、神戸市の雇用は空港建設中も減少しつづけ、給与も減少。各種値上げや敬老パスの有料化など100億円以上の市民の負担が増えました。土地売却が進まず、結局残ったのは、2000億円以上の借金です。
 また、旅客数は、2010年、221万人となっていますが、当初の需要予測の403万人の54.8%、半分ちょっとにすぎません。2015年の需要予測、434万人はとても無理で、計画は破たんしています。
 わたしたち日本共産党議員団は、震災後に住民とともに、「空港よりも住宅を」の取り組みを行い、議会でも、繰り返し、採算性や市民合意、空の安全性、環境への影響など、問題点を指摘してきました。しかし、兵庫県は、「21世紀の大交流時代」、その後「3空港役割分担」、現在は「最大活用」など、言い訳をつづけ、総額75億円にもおよぶ県税を、今後も投入しようとしています。
 また、関西国際空港についても、「民営化方式」と過大な需要予測にもかかわらず、兵庫県は125億円の出資、13億円の貸付をしていますが、1兆円を超える巨額の負債をかかえています。
 さらに今、そうした行き詰まりを打開するため、関空と大阪国際空港の統合、両空港の運営権売却(コンセッション)をすすめ、その相手先に、神戸空港の運営権も売却する動きがでています。
 井戸知事も、8月1日の記者会見で「神戸空港も入れてもらわなくては」と述べていますが、これまでまがりなりにも国が責任をもってきた「安全性」や「環境対策」が、売却優先、コスト優先で、おろそかになる懸念があります。関空の「民営化方式」の誤りを、さらに危険な方向にすすめることに他なりません。
 また、売却のためには、神戸空港の多額の借金を解消する、あるいは分離することが前提と言われていますが、そのため、税金からの負担が避けられなくなる心配もあります。
 関空・伊丹両空港と、神戸空港の運営権の危険な民間売却や、あらたな市民・県民負担は、絶対にやめるべきです。供給過剰の関西3空港は、安全性や環境を優先して、抜本的に見直す立場で、神戸空港への税金投入を中止することを求めます。知事の答弁を求めます。

○井戸知事答弁:
 神戸空港は地方空港では、最も多い年間240万人が利用する全国有数の空港です。また、隣接するポートアイランドでは、わが国最大のバイオクラスターに発展した医療産業都市や、スーパーコンピューター「京」など、日本の成長を牽引する技術集積が進み、地域経済の活性化や雇用拡大などの波及効果が期待されております。これらを支える神戸空港は、兵庫の産業発展にとっても、きわめて有用であります。本県の空の玄関口として、県民に広く利用されることを期待しております。したがいまして県としても空港の安定的な運営のため応分の負担をしているものです。
 一方、圏域人口2100万人を有する関西の3空港5本の滑走路は、圏域人口1200万人のロンドンの5空港6本の滑走路や、ニューヨークの圏域人口2900万人で3空港9本、ケネディ空港だけでも4本を有する世界の主要都市と比べてみても決して供給過剰とはいえません。将来的には神戸空港を含めた3空港一体運用の実現による全体最適をはかることにより、さらに潜在的な空港需要を喚起することが出来ると考えています。
 また、運営権売却による民間の経営ノウハウの活用で、より効率的な経営ができると思います。安全性の確保や環境対策の実施については、民間への運営県売却によって、おろそかになるわけではありません。民間事業者との取り決めによりまして、その実施が義務付けられますとともに、経営統合法に基づく基本方針のなかでも、国による指導監督の責務が明確に位置づけられています。県としても、運営県売却後も確実に実施されるよう、国に強く申し入れてまいります。
 今後、神戸空港の運用時間、発着枠などの規制緩和や一体運用を早期に実現させることにより、関西3空港がわが国の成長エンジンとしての役割を果たしていくよう取り組んでまいりますのでご理解ください。

【UR借上災害復興県営住宅の継続入居を】

 最後にUR借上災害復興県営住宅についてです。
 借上県営住宅には8月末現在、明石、神戸、西宮、尼崎市に1,698世帯が入居しておられます。他の復興公営住宅と同様、恒久的な県営住宅として募集されていたため20年期限とは認識されておらず、住み続けたいと願うのは当然のことです。
 対応を検討した検討協議会では「…財政状況が許せるのであれば借上住宅を…購入ということも選択肢としてあったと思う」「実際、原則住み替えの主な理由は財政負担のことではある」という発言があり当局も否定していません。行革プランの推進の中で退去させる方針が決められた事からも財政上の理由が大きく影響したことは明らかです。つまり、被災者の入居時には「20年後に退去」という方針はなく、後になって県の財政の都合から被災者を退去させることにしたということを認めたものです。
 「対応方針」では、概ね80歳以上、あるいは要介護3以上、重度障害をお持ちの方などは継続入居を認め、75歳以上の方、要介護1以上、中程度の障害をお持ちの方などは第三者の判定委員会で継続入居を判定するとしました。
 入居者が声をあげたことにより出された対応策ですが、住民を分断し基準から外れる約6割1,000世帯に退去を迫るもので、到底容認できません。
 この基準で退去を迫られる方達は、入居時に県から、事務連絡員や自治会長としての役割を期待された比較的若い世代の入居者が少なくありません。
 ある男性は、カギ渡しの時に公社職員から「独り暮らしの高齢者が多いから自治会長をしてもらえたらありがたい」と言われ自治会を立ち上げました。
 またある女性は、入居直後から神戸市もすすめる“ふれあい喫茶”を定期的に行い、見知らぬ同士だった住民のつながりを作ることに尽力し、事務連絡員も務めました。
 しかしこの方達は年齢要件等で判定委員会にもかからず、機械的に退去を迫られます。
 このことは、残れる方にとっても不安材料となっています。ある81歳の女性は、内科、整形外科、眼科など病院通いをし、夜間の血圧上昇など何度か救急搬送されましたが、自活できているのは、同じ住宅の方の、「元気ですか」という声掛け、ごみ出しや買い物のお手伝いなど日常の支えがあるからです。この女性は「周りの人が出ていくと、残っても心細くてしょうがない」とおっしゃっています。
 今になって年齢等の線引きで退去させ、10年以上かけて築き上げてきたコミュニティを壊すのが、震災を経験した自治体のやることですか。
 現在残れる人・退去させられる人ができたことから起きている問題を8月の重要政策提言の時に申し上げました。それに対し知事は「コミュニティがギスギスしているような状態が出ているとしたらそれは非常に申し訳ない。適切な対応をしていきたい」とおっしゃいました。
 そうならば機械的に線引きせず、ここを離れては生きていけないという人を無理やり追い出すようなことは絶対にしないと約束していただきたい。
 そして、避難所、仮設住宅からやっと県営住宅に落ち着いた入居者が今まで通り安心して暮らせるように、棟借りの住宅は県営住宅として買い取り、バラ借りの住宅は契約更新して、希望するすべての入居者が安心して住み続けられるよう強く求めます。知事からの答弁をお願いします。

○大町まちづくり部長答弁:
 UR借り上げ県営住宅については、契約期限までに都市再生機構に返還することを基本として、入居者には円滑に住み替えていただくことを原則としております、県が当初から当該住宅を20年を限度とした県営住宅と位置づけており、入居決定時には、入居許可証とあわせて、県営住宅のしおりを配布し、ひとつは20年を限度とした借上げ住宅であること、ふたつは、借上げ契約終了後は明け渡していただくことを伝達しています。そのようななかで、継続入居を認めることは、自力で住宅を再建した被災者や、期限が来る前にすでに転居された方との公平性の観点からも問題があると考えています。
 しかしながら、入居者への移行確認調査の結果、高齢や障害など、住み替えが困難な方がおられることが判明したことから、これらの世帯については、一定基準にもとづき、継続入居を認めるとの方針を、この3月に取りまとめたところです。これらの借り上げ県営住宅において、段階的にコミュニティー機能を引き継いでいくため、空き住戸の速やかな募集入居をURに要請するとともに、指定管理者による巡回の充実、地元市町の福祉部局との連携による見守りの強化、ふれあい喫茶等の支援を実施していくこととしています。今後継続入居を認める世帯の住戸については、URと再契約の協議をすすめ、その他の世帯については、引き続き住み替え支援金の支給などの支援策により、円滑な住み替えを図っていきます。また、継続入居の可否の判定にあたっては、いまおこなっている団地ごとの説明会で聴取した入居者の実情等も、十分勘案したうえで、きめ細かく、弾力的な対応に取り組んでまいります。

【再質問】
○きだ結:
 借上げ住宅について、再質問させていただきます。先ほどの答弁のなかで、20年を期限にということで、URに還すことを基本とするといわれましたが、借上げの返還の方針というのが、結局、行革プランの推進のなかで盛り込まれてきたという経過もあります。原則住み替えの理由は財政負担のことである、ということを(検討協議会の)委員の方がおっしゃったときに、認めておられる。ですから、20年間の期限というのは、入居者としての契約でもなんでもない。先ほど、入居決定時にしおりを渡した、と言われましたが、これも事実と違います。入居決定の通知書が送られてきたときではなく、実際には鍵わたしのとき、入居の1~2週間前に、鍵と一緒に渡されている。口頭説明もなく、後で読んでおいてくださいよ、というぐらいの扱いで渡された、これが事実。ですから、借上げのみなさんにとって、「寝耳に水」。県は「復興フォローアップ」といって、被災者の見守り、巡回や、常駐型など災害復興公営住宅でもつくっていこうとされていますが、いまあるところを断ち切って、また新たなことをするんだったら、いまやっていることを継続させるべき。
 今年度予算でも、神戸空港には3億7千万円以上、但馬空港には5億円近くの県民の税金をつぎ込んでいます。UR借り上げ県営住宅の入居者の継続入居させるには家賃収入と交付税を差し引いて6億円余りで可能です。ですから、やはり、被災者が安心してもらうためにこそ、税金をつかうべきだと思います。兵庫県は、震災復興で、最後の最後まで被災者に冷たい姿勢だった、最後に追い出されたという、こんなことになったら、県政上の汚点ではないでしょうか。希望する全員を継続入居させてください。知事に答弁を求めます。

○井戸知事再答弁:
 UR借り上げ住宅については、URとの契約で、もともと最初から20年で返還するという契約で借り上げていますから、それを前提に県営住宅として提供しておりますので、当然に、20年経過すれば、移らざるを得ないというのが原則である。しかし、いろんな諸事情がありますので、URともよく相談をいたしまして、事情がある方々につきましては、延長契約を認めていただく、ということにいたしました。その事情をどういうふうに基準化するのかということで、第三者委員会で、議論をさせていただいて、一定の基準を3月に定めたわけでございます。なにも分断する意図で定めたわけでございませんが、結果として、そのような地域コミュニティーにたいする影響もでてまいるという話を8月(9月の重要政策提言?)にも伺いましたので、どのような状況ならば、望ましいコミュニティーの維持ができるのかというのも、実を言いますと、具体の個別の第三者委員会で、判断を最終的にされるときの要素にもなろうかと思います。そのような意味で、先ほども部長が答弁いたしましたように、「継続入居の可否の判定にあたっては、いまおこなっている団地ごとの説明会で聴取した入居者の実情等も、十分勘案したうえで、きめ細かく、弾力的な対応をしていく」とお答えしました。つまり、いま決めている基準が、そのまま機械的に対応するつもりはない。きめ細かく対応させていただきます。ただ、Aという事業にこれだけお金を投入しているから、この事業にいくら投入しても大丈夫だ、という比較の問題ではないと私はそのように理解しております。


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