文教常任委員会
2013年12月11日
(1 付託議案審査)
第107号議案 職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例中 関係部分
を議題とし、教職員課長の説明を聴取した後、質疑並びに意見の開陳を行った。
(きだ 結委員)
今回の議案に対して、日本共産党の態度を表明する。
職員の給与改定については賛同しかねる。今回の議案は、国家公務員法の制度改悪に併せて、55歳を超える高齢層の県職員の昇級を大幅に抑えるものであるが、55歳といえば、今までの蓄積もあり、後進の育成という点でも、大事な人材である。年齢差別ともいえる人件費削減策は、高齢層の県職員の生計や生活設計を破壊し、後進の若手職員に対して大きな不安を与え、多くの職員の士気を低下させるものではないかと非常に懸念している。今年度は職員給与が民間を下回ったということなどから、人事委員会は勧告を見送っており、行革による抑制措置を含めれば、職員給与は民間を1万9,885円下回っており、7月に実施された国の地方交付税カットによる給与削減の押しつけによる減額も含めると2万8,811円も下回っているということである。人事委員会勧告が見送られているのに、人事委員会の報告に基づく昇級停止を押しつけるべきではないと考える。さらに、職員労働組合の反対によって、実施時期は、再来年度からと、1年先送りされているのに、早々と条例で決定するのも問題である。今回の行革措置の一部緩和、国の要請に基づく給与減額措置の終了は、2008年度から連続して実施されている給与抑制のもとでは、例えば、若い教諭で、今回の案では、たった月額500円の緩和で焼け石に水となっている。本来、県独自カットの中止こそが求められていると思う。国家公務員に準じて、今回の県職員の昇級、昇格制度見直しによる給与抑制は広く労働者全体の生活水準、地域経済に悪い影響を及ぼし、景気回復にも逆行すると考えられるため、日本共産党は今回の議案は可決すべきでないという立場である。
(2 請 願 審 査)
(今期定例会で付託されたもの)
第97号 教育予算を増額し豊かな障害児教育の実現を求める件
第99号 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件
第100号 教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善を求める件
以上3件を一括議題とし、審査の参考とするため、学事課長、特別支援教育課長、財務課長、及び教育課長の意見並びに現状報告を聴取した後、質疑並びに意見の開陳を行った。
(きだ 結委員)
請願に対して、まず、質疑させていただく。
まず、請願第97号について、通級指導教室の説明もあったが、要望では自分の学校の通級指導教室で学べるように、全ての学校に設置してほしいということである。現在の県の方針として、各市町にそれぞれ2校以上の拠点校を作るという説明を受け、今年度は、昨年度より20教室増え、LD等の通級指導教室が112教室に増えているということだが、現在でも、全県の小中学校の数から見ると、大体10校に1校程度だと思う。今後の設置予定、もう少し進める予定があるのかどうかということをお聞きしたい。
特別支援教育課長(森下伊一郎)
学校生活支援教員によるLD等の通級に関しては、現在112教室と年々拡充してきた。これは、国の加配定数であり、県として、市町から挙がってきた希望を国に伝えて、国として兵庫県には何名という形で加配が来るので、それを活用しているところである。今後も増やしていきたいということで、国に対しては、要望を挙げている。
(きだ 結委員)
増やしていきたいという答弁をいただいたが、やはり、他の学校に行くという移動の時間もかかるので、自分の学校で受けられるならば、その時間だけ少し抜けて、また自分の教室に戻れるということもできるので、ぜひ進めてもらいたい。
特別支援学級の充実について、先ほどのご説明で義務標準法で8名以下だということで、それ以下にすることはなかなか難しいという説明であったと思うが、今の現状は、障害種別で設置されているところもあれば、知的、肢体、情緒などが一緒にされているところもある。もう少し少人数でということもそうだが、障害種別に知的は知的、肢体は肢体、情緒は情緒と、その子供に応じた学級編制という少人数学級化ができないものかと思うがどうか。
特別支援教育課長(森下伊一郎)
特別支援学級に関しては、種別ごとに設置している。複数の種別を合わせた特別支援学級というものはない。
(きだ 結委員)
障害種別の設置ではなく、一緒に設置されているところもあるとお伺いしているので、確かめていただきたい。やはり、一人一人の子供をしっかり見ていこうということになれば、8人というのは少し多い、6人でも多いと印象を受ける。ぜひ、少人数化をしていただくとういうことで、この要望の趣旨は十分に理解できると思う。
スクールバスについて、増車もしてきたという説明であるが、さらに、増車をということで要望されている。私も先日、県立芦屋特別支援学校に行ってきて、バスの…。
委員長(上野英一)
きだ委員、前回も言ったが、請願に対する質疑ということで、請願の背景などの質疑になっているように思うので、注意願いたい。
(きだ 結委員)
請願に書かれていることである。バスが7コース7台運行されており、それぞれの始発から学校到着までの乗車時間を見せていただいた。30分かかるコースが二つ、40分が1コース、50分が2コース、約1時間が2コースということであり、2時間もかかるような地域と比べると、短いかもしれないが、1時間もバスに乗車しているというのは、かなりの負担ではないかと思うがどうか。
(きだ 結委員)
請願第99号の私学助成について、以前と比べれば学費の軽減は、兵庫県でも進んでいると思う。しかし、請願に書かれているように、授業料だけでなく、施設・整備費等を加えた学納金全体で見ると兵庫県は年収250万円未満世帯で約25万円の保護者の学費負担、250万円から350万円未満で35万円の学費負担、それ以上の世帯については、それ以上の学費負担があるとういうことで、残念ながら生活保護世帯でさえ、実質無償化されていないというのが現状である。先ほど、生活保護世帯を含めて250万円未満世帯では実質無償化を図っているということであったが、授業料だけということである。この制度を評価するために、退学者の詳しい理由は分からないとは思うが、経済的な理由での退学者がどうなっているのかなどはつかんでおられるのか。
教育課長(清澤貞二)
22年度の就学支援金が導入されたことに伴い、低所得者層に厚くということで、今現在の制度を構築した。今後については、国の就学支援金制度が見直しされているので、それを踏まえて対応させていただきたいと考える。授業料以外のものについては、入学資金貸付や奨学資金貸付という部分で対応させていただきたい。退学の中身については、ほぼ退学が横ばいで経済的理由による退学者も横ばいと理解している。
(きだ 結委員)
私立学校教職員組合連合が兵庫の私立学校の退・入学者数を調べているが、2009年入学生徒のうち、中途退学した生徒は972人、2011年度は894人で7.2%であり、少しづつ減ってきてはいるが、先ほど言われたように、横ばいかなということである。もちろん、生徒数の減少が全て退学とも言えないし、退学の理由が全て経済的な理由とも言えないが、経済的な理由も多いのではないかと推察される。軽減補助の評価については、ぜひ、この請願にあるもう少し支援してほしいということについて検討する上でも、退学の理由や退学者数の推移などを把握していただきたい。
各都道府県の授業料免除制度に大きな格差があり、居住する場所によって学費負担が大きく違うという指摘をされている。例として、大阪府、京都府を挙げられているが、その制度の概要を教えてほしい。
教育課長(清澤貞二)
大阪府の場合は年収610万まで実質無償化、610万から800万までが10万円負担ということである。京都については、500万まで実質無償化で、それ以上900万円までは5万円支援している。
(きだ 結委員)
今ご説明いただき、京都府と大阪府の制度が分かった。請願要旨に書かれているように、兵庫県はもう少し頑張れるのではないかと、検討の余地があるのではないかと思った。
日本共産党の請願に対する意見を表明する。
まず、第97号について、今社会は障害のある人もない人もともに、人格と個性を尊重し、みんなが一緒に参加できる共生社会の実現に向け進んでいる。教育の分野においても、インクルーシブ教育をめざし、障害があっても適切な合理的配慮を行うことで、その人の人格を尊重し、才能または身体的な能力を可能な限り発達させることが求められている。普通学級の少人数学級化、全ての学校に通級指導学級の設置、特別支援学級の障害種別による設置・少人数化・充実化が必要である。また、過大、過密、長時間通学の解消も急務である。先ほど、県立芦屋特別支援学校の話をしたが、当初、定員180名だったとお聞きしたが、開校3年目の今年で既に293名、四つの特別教室を普通教室に転用しなければならない状態になっていた。阪神間、神戸市内、但馬北西部の課題の抜本的な解決のためにも、ぜひ、特別支援学校の新設が必要である。また、知的特別支援学校高等部を卒業した生徒の学びのために、先ほど専攻科の設置は必要ないと言われたが、健常な生徒が学ぶように、一般教養と専門科目、余暇活動などでその能力を延ばす環境が必要だと考える。そのことで、就業に向けての意識を高めることにもつながると思われる。この請願の大きく八つの要望項目は、どれも障害を持つ児童生徒が健常な児童生徒と同じスタート地点に立つために、必要不可欠な合理的配慮だと考える。よって、本請願の採択を強く主張する。なお、継続が図られるならば、継続もやむなしと考える。
次に、第99号について、請願の要旨にもあるように、2010年4月から公立高等学校の授業料の無償化がされて以降、経済的理由による退学者や授業料滞納者は全国的には減少に転じてきているなど、その政策効果は見られるものの、兵庫県の私学授業料補助は、先ほどの質疑でも明らかなように、まだ、改善の余地が残されていると言える。全国的には、大阪府、京都府、広島県、鳥取県で授業料と施設・設備費を併せた学納費全体が実質無償化になっているほか、38道府県が生活保護世帯、34道府県で年収250万円未満世帯、14府県で350万円未満世帯がそれぞれ無償化されている。兵庫県は生活保護世帯でさえ授業料の無償化に届いていない9都県の一つになっており、非常に不名誉なことだと思う。また、兵庫の私学の財政状況も好転しているとは言えず、多くの学園で人件費等の圧縮につぐ圧縮によって、ようやく2011年度帰属収支差額比率が平均でゼロ%になるということで、耐震化費用の捻出も難しいということを察することができる。このような中、先日、第3次行革プラン企画部会案で、さらなる私学補助の削減が盛り込まれた。神戸新聞では、私立高等学校への補助縮減という見出しで、私立高校の運営について、年間5億7,000万円の削減につながるという趣旨の記事が出されていた。今回国の高等学校無償化の見直しによる、年収910万円以上は対象外とする所得制限導入は、生徒間に分断を持ち込むもので許し難いものだが、一方で、低所得者への傾斜配分で、兵庫県の今の財政出動を増やすことなく、現状維持すれば多くの世帯で実質無償化が図れるという体系になっている。公私間格差をなくして、個性豊かな私学教育を発展させるためにも、本請願の趣旨に賛同し採択を強く主張する。なお、継続が図られるならば、継続もやむなしと考える。
第100号についても、先の二つの請願と同趣旨であることからも採択を強く主張する。また、継続が図られるならば、継続もやむなしと考える。
次に、第97号、第99号及び第100号の3件の取り扱いについて諮ったところ、賛成少数で継続審査しないことに決した後、直ちに表決の結果、賛成少数で不採択とすべきものと決した。
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