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文教常任委員会

7月17日…高校通学区拡大、陳情審査(いじめ防止条例)

2013年07月17日

(1 閉会中の継続調査事件)
 「生きる力を育む教育の推進について」を議題とし、「高等学校教育の推進」について、高校教育課長の説明を聴取した。

(きだ 結委員)
 通学区域の拡大によって、学力・経済・家庭的に恵まれている子供たちは高等学校を選ぶことができるかもしれないが、それ以外の大多数の子供たちは選ぶことができなくなるのではないか。パブリックコメントでも、競争に追い立てられるのではないか、地域から地域の高校生がいなくなるのではないかといった意見が寄せられている。また、41市町のうち24市町がこの1月までに異議を申し立てる意見書を提出しているのは、そのような理由からであると思われる。複数志願選抜制度の第1志望校の加算点は地域によって異なっており、ベースとなる合格ラインも異なっている。通学区域変更時に、合格点または加算点の公平性及び整合性を保てるのか疑問がある。

高校教育課参事(世良田重人)
 委員ご指摘のとおり、現行の第1志望校の加算点には地域によって違いがある。それを5つの通学区域に統合する訳であり、いろいろなところで課題が出てくる。第1志望加算点検討委員会で検討中であり、本年度中に発表したい。

(きだ 結委員)
 実際にできるのか疑問がある。通学区域の校数が10校程度であったものが20校や30校になっても採点基準を統一できるのか。

高校教育課長(中野憲二)
 採点基準は問題作成にも関わることであり、全県でぶれのない基準を問題作成の段階から検討する。

(きだ 結委員)
 具体的に方向性は決まっているのか。

高校教育課長(中野憲二)
 現在もぶれのない問題作成を心がけているところであるが、平成27年度に向けて、例えば思考力等を見つつ選択肢から選ぶ方式であるとか、一定の試行を経て採点にぶれのない解答を導き出せるような工夫をしていく。

(きだ 結委員)
 それはマークシート方式を想定しているのか。

高校教育課長(中野憲二)
 マークシート方式ということまで検討している訳ではないが、あくまでも教科の特性に応じて思考力、判断力を問える問題を作成する工夫をしたいということである。

(きだ 結委員)
 複数志願選抜制度については、第1志望校に加算点を加えることと、その他校希望の二つが看板であると思っていたが、その他校希望を廃止した理由を教えていただきたい。

高校教育課参事(世良田重人)
 通学区域拡大に関するパブリックコメント等でいただいた意見の中で、一番大きい危惧がその他校希望の扱いであった。全く希望しない非常に遠い学校へ行かされてしまうのではないかという不安があるということで、全ての地域の方から寄せられた。現在の通学区域でも、その他校希望と書いていても、区域が広いため特別な扱いをしなければならない場合もある。そのような不安を解消するために、その他校希望の廃止を決定した。ただ、委員ご指摘のとおり、セーフティーネットの機能を残してほしいという意見もあったので、第2志望校を志願変更できるという形でセーフティーネットの機能を残した。

(きだ 結委員)
 その他校希望を廃止しなければならないのは、通学区域拡大が根本的な原因である。第2志望校の志願変更を認めるというが、合否判定によるので、通学区域内の公立高等学校を断念せざるを得ない生徒が今まで以上に出てくる恐れがある。尼崎市では通学区域拡大に向けて、尼崎の人が尼崎の高等学校へ行けるよう学力向上に取り組むなどの対策を行っている。学力向上に取り組むことはよいことであるが、それが通学区域拡大によるものであり、また、所得の低い階層が多いことから、家庭で学習する環境が整っていない子供が通学区域の拡大により高等学校に行けなくなるかもしれないということを心配しないといけない事態を引き起こしている。現行の通学区域で問題点を解消すべきであり、市町、保護者の意見を聞いて、計画の白紙撤回と再検討を申し上げたい。

高校教育課参事(世良田重人)
 無理に遠方に通学させようとする意図は全くない。それぞれの学校が魅力づくりに取り組んでおり、地域の皆様に愛される学校づくりを進めているところである。地元の学校に魅力を感じ、地元の学校に進みたい生徒にはどんどんそうしていただければよい。ただ、全国的に見ても多い16学区に分割されている現状では、近隣に勉強したい学校があるのに通学区域が別であるために行けない生徒がいる。そのような生徒の選択肢を広げるために通学区域拡大は行われた。第2志望校の志願変更を認めることで、募集定員のかなりの部分が埋められるのではないかと期待している。第1志望校または第2志望校の公立高等学校にかなりの割合で入ることができるのではないかと考えており、委員ご指摘のような行きたい学校に行けなくなるということにはならないと考えている。

高校教育課長(中野憲二)
 現在、中学校の進路指導に対する不安を解消するべく、新しい通学区域におけるオープンハイスクールや学校説明会のあり方について全県で中高連絡会を開催している。また、中学校の進路指導に関する情報交換の場を県教委として設定している。さらに「中学2年生から活用できる新通学区域に対する進路指導の充実に向けて」というパンフレットの各中学校への配布、学習評価の研修会の実施など、前向きに取り組んでいるところである。要望があれば、保護者等に対して県教委が出向いて説明会を開催するなど平成27年度に向けて進めているところであり、ご理解いただきたい。

(きだ 結委員)
 中学校の進路指導の不安についての声を聞いているので、乱暴に進めることなく、問題があるのであれば再検討する決断をしていただきたい。

(2 陳 情 審 査)
 第34号  「いじめ防止条例」制定に関する件
 を議題とし、審査の参考とするため、義務教育課長より意見並びに現状報告を聴取した後、審査を行った。

(きだ 結委員)
 いじめは深刻な人権侵害、また、暴力行為であり、いじめから子供たちの命を守らなければならない。安全と人権を保障するために何らかの法的整備が必要であると考えている。私たちの提案について説明する。一つ目は、教育現場でいじめの対応を後回しにしないことである。いじめを放置することや隠ぺいすることは安全配慮義務違反になり、全教職員、保護者がいじめの情報を共有することが必要である。運動会や文化祭等の自主的活動の比重が下がっていることも人間関係が希薄になっている一つの要因かと思う。一つのことについて団結して頑張ったという経験は人間関係を強くするし、いじめのようなことが起きそうになったときも、やめておきなさいという一声をかけられるようになるので、自主的活動の比重を高めていくことも教育現場で必要ではないかと思う。また、加害者もいじめに走るだけの悩みやストレスを持っている子たちであるという共感が必要である。陳情の趣旨とは違うが、厳罰化はその子供たちの気持ちを抑えつけるだけで、気持ちを和らげて立ち直らせるには逆効果であると思うので、児童相談所、臨床心理士などの専門家と連携することが大事であると思う。それから、自殺などの重大事案の場合、事実調査をしっかりと行い、調査結果を公表すべきである。事実調査が遅れたり、子供のプライバシーの保護を理由に全面的に公表されないなど被害児童や遺族となった家族に知る権利が保障されていないのは大きな問題であると思う。いじめは人権侵害、暴力行為であることを定義すること、子供が安全に生きる権利を教育現場で保障しなければならないことや、知る権利を明文化した法制度が必要であると思う。厳罰主義をとると監視しなければならず、学校も家庭も介入されて息苦しくなるので、立ち直りや未然防止には、教育現場の環境を改善することや、加害者の立ち直りのために寄り添うことが大事であると思う。


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