第353回本会議
2021年03月24日
私は日本共産党県会議員団を代表し、上程中の請願の内、請願第34号、請願第36号、請願第37号、請願第38号、請願第39号、請願第41号、請願第42号について、不採択ではなく採択を求めて討論いたします。
まず、請願34号 「政府に対し消費税5%に引き下げることを求める意見書提出の件」についてです。
請願趣旨にあるように安倍前政権のもとで二度にわたる消費税増税が強行され、日本経済は低迷しています。企業の倒産・廃業は、大幅に増加し、就業者数は、71万人の減少、完全失業者数は、この1年間で50万人近く増えています。その上に、新型コロナウイルス感染症の拡大で、いのちと健康の不安、未曽有の経済危機が暮らしと日本経済に暗い影を落としています。
消費税は、社会保障の安定的な財源といわれますが食料品、生活に欠かせない必需品や、光熱費などくらしに不可欠な支出に課税され、所得の少ない人ほど負担が重く、コロナ禍で不況にあえぐ赤字経営の事業者にも容赦なくのしかかっています。
そんな中、世界では56の国と地域で、消費税にあたる付加価値税の減税を実施、予定しています。消費税減税は、コロナの影響を深刻な形で受けている事業者・消費者の税負担を軽減し、事業継続を支え、雇用を守る有効な対策として評価されているからです。
日本国憲法は、応能負担原則に則った税制の確立を要請しています。消費税に頼るのではなく「税金の集め方、使い方」を見直すことで財源を確保することは、可能です。コロナ禍のもと、富の集中がすすみ、格差が拡大しています。資産1千億円以上の富裕層は、総資産を約14兆円から約22兆円にまで増やしています。株で大儲けしている富裕層や、内部留保金をため込む大企業を優遇する不公正税制を正すべきです。
コロナ禍のもと、消費税を引き下げることは住民や事業者への直接支援につながります。よって、消費税率を5%まで引き下げることを強く求める本請願に賛同し、不採択でなく採択を求めます。
次に、請願第36号 「選択的夫婦別姓の導入へ、一日も早い民法改正を求める意見書提出の件」についてです。
本請願の趣旨にあるように、選択的夫婦別姓の導入を求める声は、切実です。夫婦同姓を法律で義務付けている国は、日本以外になく、両性の平等と基本的人権を掲げた憲法に反します。
女性差別撤廃条約の第16条では「夫婦別姓は、夫及び妻の同一の個人的権利」であることを明記しています。国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、同姓の強制は、「女性差別撤廃条約に違反する」として、民法の差別的規定の廃止を繰り返し勧告するなど、世界から問題視されています。
政府がこの勧告に長年、背を向け続けることは、ジェンダー平等度世界121位である日本の女性蔑視・差別を温存し続けることになります。
世界がSDGs持続可能な開発目標の5番目の目標であるジェンダー平等を主流としている今、オリンピック組織委員会前会長の女性蔑視発言に対する各国からの厳しい批判とジェンダー平等の遅れが指摘されています。
現行の「夫婦同姓の強制」は、女性からも男性からも「姓」を選択する権利を法的に奪っていることが問題です。職場や地域、家庭内で女性たちの多くが不都合と違和感を覚え、「民法の改正を」の声を上げています。
国の「第5次男女共同参画基本計画」案に多くの意見が寄せられ、パブコメでは、導入に反対の意見はなく、世論調査でも約7割が賛成です。国は、別姓を選択する自由を認める「選択的夫婦別姓制度」の導入を求める圧倒的世論にこたえるべきです。よって本請願は不採択でなく、採択を強く求めます。
次に、請願第37号 「女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書提出の件」についてです。
女性差別撤廃条約選択議定書は、今年1月20日現在、締約国189か国中、114か国が批准しています。批准国では、条約締約国の個人または集団が条約で保障された権利の侵害を女性差別撤廃委員会に、直接申し立てをすることができ、委員会が内容を審議し、通報者と当事国に「見解」「勧告」を通知する制度を定めています。条約の締約国は、「女性に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、遅滞なく追求することに合意」しています。
ところが日本政府は、国連の女性差別撤廃委員会や、国連人権理事会から同条約の選択議定書の批准を重ねて勧告されています。そのため政府の第5次男女共同参画基本法では、「諸外国の水準に追いつけるよう、これまでの延長線上にとどまらない強力な取り組みを進め、法制度・慣行を含め、見直す必要がある」としています。
日本共産党は、女性差別撤廃条約選択議定書のすみやかな批准を求める国への意見書を求める本請願に賛同し、不採択でなく、採択を強く求めます。
次に、請願第38号「所得税法第56条の見直しを求める国への意見書提出」についてです。
中小業者の営業は、家族全体の労働によって支えられています。しかし、所得税法第56条は、「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」とし、日本の税制では家族従業者の働き分(自家労賃)を必要経費として認めていません。
夫婦で懸命に働いても配偶者の収入はわずか86万円とみなされ、家族従業者は社会保障や行政手続きなどの面で不利益を受けています。
政府は「青色申告にすれば給料を経費にできる」(所得税法57条)と言いますが、働いている実態が同じでも、申告方法の選択によって納税者を差別することは許されないことです。
世界の主要国では家族従業者の働き分を必要経費として認めています。
国連女性差別撤廃委員会は2016年3月「所得税法第56条が家族従業女性の経済的自立を妨げていること」を懸念し、「所得税法の見直し」を日本政府に勧告しました。
国は、第4次男女共同参画基本計画(2015年決定)に「女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう税制等の各種制度の在り方を検討する」と明記しました。また、地方議会からも所得税法第56条の廃止を求める意見書がこれまで500以上あげられています。先延ばしにする理由はありません。よって本請願の採択を強く求めます。
次に、請願第39号 「国の緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の申請の改善を求める意見書提出の件」についてです。
緊急事態宣言の再延長を受け「もう廃業しかない」「従業員を減らさざるをえない」など中小業者から悲痛な声が上がっています。
国は、緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受け、売り上げが50%以上減少した中小法人・個人事業者等への「一時支援金」を創設しました。
しかし、「一時支援金」の申請には「登録確認機関」から「事前確認通知番号」の発行が必要であること、また、これまでの持続化給付金や家賃支援給付金と同様にウェブ申請しか認められていないなど、これでは「申請したい」と願う事業者の門戸を狭め、必要な方に必要な支援が行き渡らない状況になってしまう可能性があります。
よって、地域経済と中小業者を守るため「一時支援金」の申請を申請者が直接できるようにすること。ウェブ申請ではなく郵送でも受け付けることを求める。請願第39号の採択を求めます
最後に、請願第41号「高等教育における一律学費半額の早期実現を求める意見書提出の件」、請願第42号「新型コロナ禍のもとで苦難にあえぐ学生への支援に関する件」についてです。
日本の高等教育にかかる高学費は、大きな社会問題です。今や大学生の半分が奨学金を借りざるを得ず、その多くが利子付き奨学金です。
卒業と同時に高額な借金を背負い、社会人の第一歩から生活が破綻する若者が続出するなど、学費無償化は喫緊の課題です。
2019年度の日本学生支援機構の学生生活調査でも、大学生の学生生活費の63.2%を学費が占め、「家庭からの給付のみでは修学が不自由・困難、及び給付なし」と答えた学生が34.1%を占める厳しい実態です。
今年度(2020年度)からやっと給付型奨学金と授業料減免がセットになった「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。
しかし、新型コロナ禍のもと、家庭の経済状況の悪化、学生生活と学費の糧となっているアルバイト収入が激減し、学費納入が困難になることはもとより、全国各地で多くの学生が食糧支援を受けるなど食べることに事欠くほど深刻な実態です。
国は、新型コロナによる家計急変した学生を、見込み所得で学費減免制度の対象にする支援策をとっていますが、「保護者が死亡あるいは失業した」など、その対象も限られています。
全国で、「一律学費半額と、大学などへの予算措置を求める署名」が広がり2万人を超える署名が集まっています。もともと、世界的に高い高額費が学生を苦しめています。コロナの影響で生活困窮に陥っている学生が学びをあきらめてしまうことがないように、国の責任で学費の一律半額に踏み出すべきです。
また、昨年7月に支給された「学びの継続のための「学生支援緊急給付金」」も、学生が家庭から自立してアルバイト収入により学費を賄っている住民税非課税世帯とそれに準じた世帯など、支給要件が厳しく、希望する多くの学生に支援が届きません。
これらの支援制度について、支給要件を緩和し対象を広げ、再度支給すること、大学まかせでなく、学生本人に直接通知することなど国に要望すると同時に、兵庫県として県内大学・短大・専門学校に通う学生に対して給付金を支給するなど、経済的に困難を抱える学生を支援する必要があります。
よって、請願41号、42号は不採択でなく採択を求めます。
以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。
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