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第320回本会議

12月13日 請願討論…消費税増税中止、秘密保護法案廃案、こども病院移転撤回、子ども子育て新制度、豊かな障害児教育、私学助成拡充、借り上げ住宅解決等

2013年12月13日

 私は日本共産党県会議員団を代表し、請願第89号、第90号、第91号、第92号、第93号、第96号、第97号、第98号、第99号、第100号、以上10件について、不採択ではなく採択を求めて討論いたします。

 まず、第89号「来年4月からの消費税増税の中止を求める意見書提出の件」、及び第90号「消費税増税中止を求める意見書提出の件」についてです。
 国民の多くは、来年4月から消費税率8%を実施することに大きな不安をもち、反対しています。政府は景気がよくなっているといって来年4月からの消費税8%への増税を決めましたが、国民の生活は、所得や収入が減り、社会保障が削減され、「これ以上、どこを切り詰めて暮らせというのか」これが実態です。 アベノミクスで物価だけが値上がりし、生活は苦しくなっています。 こんななかで消費税を増税すれば、暮らしも経済も財政も壊れてしまいます。 また中小業者は、消費税を売り上げや単価に転嫁できていません。 全国商工団体連合会の調査では、いまでも5割以上が転嫁できていませんが、税率があがれば7割以上が「完全には転嫁できない」と回答し、廃業するしかないと答えています。
 政府は、中小業者の消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的に、大企業による買いたたきなど、消費税の転嫁拒否を禁止するとする、消費税転嫁対策特別措置法を制定しました。商品や工賃の単価自体が値引きされれば、通常の取引と区別はつかず「違反」にはなりません。 
 消費税が5%あがれば、納入先は間違いなく5%値下げを要求してくるというのが下請け業者の実態で、これを拒否したり、告発すれば、仕事を切られてしまう、これが消費税増税導入から、24年間解決できなかった根本的な問題です。 特措法によって解決できるものではありません。
 一方で、輸出大企業は消費税が還付されます。 その額は、2012年度で上位20社で1兆円を超えると、最新の有価証券報告書から推計されています。1位は、トヨタ自動車 1801億円、2位は日産自動車906億円、3位は住友商事665億円、4位ソニー635億円などなどです。 税率が上がれば上がるほど還付金額は増えるというものです。
 このような不公平の実態を放置して、中小業者を廃業に追いやる消費税の引き上げは、到底認められません。 
 消費税の来年4月からの実施の中止を求める請願の趣旨に賛同し、両請願の採択を強く主張いたします。

 次に第91号 「秘密保護法案を廃案にすることを求める意見書提出の件」についてです。
 秘密保護法は12月6日深夜、参議院で自民党と公明党の賛成多数により成立しました。世論調査でも国民の過半数が反対し、8割が慎重審議を求め法案成立に反対しました。反対のデモは、国会周辺だけでなく、全国各地で行われ、弁護士や科学者、メディア関係者、宗教者、映画俳優、作家なども含め広範な人たちが反対の声をあげました。 政府が勝手に特定秘密を指定し、その漏えいに厳罰を科す秘密保護法は、国民の知る権利を侵害し、言論、国民の目、耳、口を塞ぎ、言論・表現の自由など国民の基本的権利を破壊し、国家安全保障会議(日本版NSC)の設立と一体で「戦争への道」を推し進める希代の悪法です。 国民主権、基本的人権、平和主義の原則を踏みにじる点で、明らかに憲法違反の法律です。 国民は何が秘密にされているのかもわからないまま、情報から遮断され、知りたいと秘密に近づこうとすれば処罰される、取り締まりの対象にされるものであり、断じて認められません。 秘密保護法成立後も、認めない、撤廃という声が続々と広がっています。請願の趣旨を十分に受け止め、採択を主張します。

 次に第92号「県立こども病院のポートアイランド移転の説明責任を果たすことを求める件」についてです。
 請願の要旨にもあるように、県立こども病院のポーアイへの移転について、患者・家族、医療関係者らから再三出されている不安・疑問の声に耳を傾けず、移転ありきで強行に進めているのは大問題です。県当局は、これまでもパブリックコメントや(患者向け)説明会を行ってきたと言いますが、パブリックコメントでは一番の不安材料である移転地について場所は伏せた状態で行われました。つまり移転地を含めた計画の是非を問うものではありませんでした。また患者説明会は移転を決定した後で行い、しかもその説明会の案内の周知の仕方は子ども病院内に案内を掲示したのみで、去年と今年2回行われた病院内での説明会の参加者数は2回でわずか48人です。2012年度のこども病院の患者数は8,000人であることを考えるとあまりにも少ない参加者です。このような進め方のどこに・・・の「協同と参画」があったのでしょうか。同じように今、県立小児医療センターの建て替え移転を進めているのが埼玉県です。兵庫県が進めようとしている、運営母体が違う総合病院との連携の初めての例になる埼玉県では、移転について出される不安の声に対応しようと、県職員が病院に出向き3回にわたる2,000人に聞き取り方式?で患者アンケートが行われました。その結果、通院時間が長くなることに対する患者家族の大きな不安、また実際に通院が困難になる例があることが分かり、昨年度末、県知事が現地に一部機能の存続の検討を表明し、今検討が進められているところです。これと比べても、今回の兵庫県の移転計画の進め方は異常です。
 南海トラフ巨大地震による津波被害の兵庫県のシミュレーションが未だ発表されず、その対策がどうなるのか疑問のまま工事が進められるのも問題です。よって、県に説明責任を求める本請願の趣旨に賛同し、採択を強く主張いたします。

 第93号「子ども・子育て支援新制度」に関する件について
 請願の要旨にもあるように、再来年度から実施されようとしている新制度では、保育・学童保育の関係者らによる運動により、市町村が保育の実施責任を持つことが残り、学童保育は市町村事業として実施されることになった一方で、保育所には多様な施設や事業類型を導入することで、保育の格差がますます広がり、学童保育は奨励的「児童福祉事業」として多様な民間事業者の参入が予想されるなど、公的保育を崩すという点で問題の多い制度である。日弁連も、「国や自治体を中心にした社会全体が、こどもの保育を受ける権利を実質的に保障すべき」であり、新制度にはこの観点が不足しているとして、意見書を出しているところです。
 本請願が指摘するように、子育て支援事業支援計画を検討する子ども・子育て会議に、保育関係者を入れて意見を反映すること、市町が行っているニーズ調査も質の低下が懸念される中、量だけでなく質の問題も調査し、把握することは重要です。
 こどもたちに豊かな人間性を育むために、保育内容の充実を国や自治体の責任で保障をしていくことが何よりも重要であり、そのことを具体的に求める本請願の趣旨に賛同し、採択を強く求めます。

 次に、請願第96号、第97号「教育予算を増額し豊かな障害児教育の実現を求める件」についてです。
 請願要旨にもあるように、「今社会は障害のある人も、ない人も、ともに人格と個性を尊重し、みんな一緒に参加できる「共生社会」の実現に向け進んで」います。教育の分野においてもインクルーシブな教育をめざし、障害があっても適切な「合理的配慮」を行うことで、その人の人格を尊重し、才能また身体的な能力を可能な限り発達させることが求められています。普通学校の少人数学級化、全ての学校に通級指導教室の設置、特別支援学級の障害種別による設置、少人数化・充実が必要です。また、過大・過密、長時間通学の解消も急務です。県立芦屋特別支援学校、先日視察に行ってまいりましたが、当初定員180名だったとのことですが、開校3年目の今年ですでに293名、4つの特別教室を普通教室に転用しないといけない状態になっています。要望項目にも書かれているように、阪神間、神戸市内、但馬北西部の課題の抜本的な解決のためにも、知的特別支援学校の新設が必要です。また、知的特別支援学校高等部を卒業した生徒の継続した学びのために、専攻科の設置が必要です。健常な生徒が学ぶように、一般教養と専門科目、ゼミや余暇活動などでその能力を伸ばす環境が必要です。就労に向けての意識を高めることにもつながると思われます。
 また、特別支援学校の生徒の卒業後の進路先はなかなか見つからず、生活の場、働く場を確保することは喫緊の課題。障がいがあっても、地域の中で得手を生かして働き、いきいきと生活できる場を保障することは当然のことです。

 本請願の大きく8つの要望項目はどれも、障害をもつ児童・生徒が、健常な児童・生徒と同じスタート地点に立つために不可欠な「合理的配慮」だと考えます。よって、本請願の採択を強く主張いたします。

 次に、請願第99号「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。

 (生活保護世帯を含む年収約250万円程度未満の世帯に対し授業料の実質無償化を図っているとの説明だったかと思いますが、もちろん以前と比べれば学費の軽減は進んだと思います。しかし授業料だけでなく、施設設備費等加えた学納金全体でみると、年収250万円未満世帯で約25万円の学費負担、年収250万円~350万円未満で約35万円の学費負担、それ以上の世帯はそれ以上の学費負担があります。生活保護世帯でさえ、実質無償化とは言えないのが現状です。そこで、この制度の効果を評価するのに、経済的な理由での退学者が減ったのかどうかが一つの指標になると思いますが、把握されていますか。

 私立学校教職員組合連合が調べた兵庫県私立学校の対入学時減少数、とその率は、就学支援制度導入の前後でみると、2009年度入学生徒の内中途退学したのは927人、7.5%、同じく2010年度は908人、7.2%、2011年度は894人、7.2%。少しずつ減っては来ていますが、少なくない数と率だと思います。もちろん、生徒数の減少の理由がすべて退学とは言えませんし、退学も全て経済的な理由でもありませんが、経済的な理由も多いのではないかと推察します。授業料軽減補助の効果、この水準で十分かどうかを確かめるためにも、ぜひそのあたりを把握していただきたいと思います。

 これに関してもう一点。請願の要旨に「各都道府県の授業料免除制度にも大きな格差がある」「居住する場所によって学費負担が大きく違う」という指摘があります。例として「大阪・京都では大幅な学費減免が実施されている」と書かれていますが、この2府の制度の概要を教えていただけますか。

 2011年度の数字ですが、大阪府内の私立高校の平均学費・授業料と施設設備費を足した年納入金は587,226円で、年収610万円まで保護者負担なく、実質無償化されています。
 同じく京都府の平均学費・年納入金は707,378円で、生活保護世帯を含む年収250万円までが保護者負担なく実質無償化され、年収500万円までの世帯では保護者負担は平均57,378円と低く抑えられています。
 さきほど、申し上げたように兵庫県の補助制度の現状は生活保護世帯でさえ平均約25万円の保護者負担が残っていますので、請願要旨で書かれているように、兵庫県はもう少し頑張れるのではないか、改善の余地があるのではないかということだと思います。)

 請願の要旨にもあるように2010年4月から公立高等学校の授業料無償化されて以降、経済的理由による退学者や授業料滞納者は全国的には減少に転じてきているなどその政策効果がみられるものの、兵庫県の私学授業料補助は、先ほどの質疑でも明らかなように、まだ改善の余地が残されています。
 全国的には大阪府、京都府、広島県、鳥取県で授業料・施設設備費合わせた学納費全体が実質無償化になっているほか、(38)道府県が生活保護世帯が、34道府県で年収250万円未満世帯が、14府県で350万円未満世帯がそれぞれ無償化されています。兵庫県は生活保護世帯でさえ授業料の無償化に届いていない(9)都県の一つになっており不名誉なことです。
 また、兵庫の私学の財政状況も好転しているとは言えず、多くの学園で人件費等の圧縮に次ぐ圧縮によって、ようやく2011年度帰属収支差額比率が平均で0%になるという現状です。
 このような中、先日第3次行革プラン企画部会案で、更なる私学補助の削減が盛り込まれました。神戸新聞では「私立高校への補助縮減」という見出しで「私立高校の運営について、年間5億7千万円の削減につながる」と書かれていました。今回国の高校無償化の見直しにより、年収910万円以上は対象外とする所得制限導入は生徒の間に分断を持ち込むもので、許しがたいものですが、一方で低所得者へ傾斜配分されることから、兵庫県の今の財政出動を増額しなくても現状維持すれば、多くの世帯で実質無償化が図れるものです。公私間格差をなくし、個性豊かな私学教育を発展させるためにも、本請願の趣旨に賛同し、採択を強く主張いたします。
 なお、請願第100号「教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善を求める件」についても、第96号、第97号、第99号と同趣旨であることからも、採択を強く主張いたします。

 次に、請願第98号 「借り上げ復興公営住宅問題の抜本的早期全面解決を求める件」についてです。
本請願は、借り上げ復興公営住宅の抜本的、早期の全面解決を求める内容です。借り上げ県営住宅は、他の復興住宅と同じく恒久的な県営住宅として当時募集が行われており、当局の言う「20年期限」との認識は、入居者側にはなく、入居者の「終の棲家」として住み続けたいと思うのは、当然です。
 先の9月議会における日本共産党の質問でも明らかなように、被災者の入居時には、「20年後の退去」との方針はなく、行革プランの推進の中で「退去」との方針が決められ、県の財政の都合から被災者に「退去」を迫ることになったというのが真相です。
 この間、入居者らの運動の中で県の「対応方針が」示されましたが、おおむね80歳以上、障害や介護度の度合いで線引きが行われ、判定委員会の判定があるとはいえ、入居されている約6割、1000世帯が退去を迫られるものとなっています。
 退去される方々は、これまで県から自治会の役員などその役割を期待され、この間のコミュニティーの形成に力を尽くされた方々です。こうした方々を退去させ、残られる方は、80歳以上、障害や介護度も重い方々で、不安に思われるのは、当然です。
 9月議会、知事も質問に答え、「きめ細かく弾力的な対応をしていく」「今決めている基準がそのまま機械的に対応するつもりはない。きめ細かく対応させていただく」と言われています。その知事と入居者が面談し、実情を十分に把握して、今後の方針決定に生かし、年齢やしょうがい。介護の度合いなどで線引きすることなく、希望者全員の継続入居で、早期に全面解決を図ってほしいとの願意は、当然のことであり、強く採択を求めます。

 以上議員各位のご賛同を心からお願い申し上げ、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。


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