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第317回本会議

3月21日 当初予算議案反対討論…経済対策、不要不急大型開発、福祉医療削減、高校「改革」、こども病院移転等

2013年03月21日

 私は日本共産党県会議員団を代表し、上程中の議案の内、第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第8号議案、第11号議案、第16号議案ないし第18号議案、第20号議案、第23号議案ないし第26号議案、第29号議案、第30号議案、第33号議案ないし第35号議案、第38号議案、第40号議案、第42号議案ないし第44号議案、計25件に反対し、以下その主な理由を述べます。

 2月4日県産業労働部発表の「本県の経済・雇用情勢」では、景気は「足踏みから悪化への局面変化」を示し、雇用情勢も「厳しい状況」にあると、依然として不況から抜け出せるきざしがないとの分析をしています。デフレ不況の原因は働く人の給与が下がり続けていることにあることから、不況から抜け出し、経済の好循環を作っていくためには労働者の給与の引き上げがカギです。ローソン、セブン&アイホールディングスでは、子育て世帯の正規職員を中心にベースアップを図るとしており、消費の刺激を期待しての行動です。
 私たちは大手企業の巨額の内部留保を労働者の賃金に還元すべきだと従来から指摘をしてきましたが、この間の調査で500億円以上の内部留保を持っている約700の企業グループについてみると、ほんの1%弱取り崩せば8割の企業で月額1万円の給与の引き上げが実現できることが明らかになっています。兵庫県では、新日本製鉄、神戸製鋼所、三菱重工業、川崎重工業、パナソニックなどがそれらに該当します。今議会の我が党のねりき議員の一般質問に応えて、知事は「県下の企業に給与の引き上げ」を要請したとのことですが、見るべき変化が生まれるまで引き続き県内大手企業への積極的な働きかけを求めるものです。
 県民の暮らしをあたため、公共事業の中身を生活密着型にかえ、地元業者の仕事確保につながる予算編成が求められますが、知事提案の新年度予算は、福祉と暮らしは自助、共助で、その一方大企業には手厚い補助を続けるものです。わが党は、予算特別委員会で13年連続となる予算組み替え案を提案し、暮らし優先の予算編成が求められること、またそれが可能であることを示したところです。

公共事業と大企業呼び込み型の経済対策の転換を

 そのような立場から、まず第1号議案「平成25年度兵庫県一般会計予算」など、新年度予算関係議案について反対する理由を述べます。
 第1に、公共事業と大企業呼びこみ型の経済対策だけで、「県民の所得・家計をあたため、中小企業や農林水産業を支援し、地域経済を上向かせる内容になっていないことです。
 財務省の法人企業統計では、2011年度のパナソニックの内部留保は3兆2198億円です。体力が十分あるパナソニックに企業立地補助金として平成14年から23年までの間に約98億円支払われました。先日の新聞報道では、パナソニックがテレビ事業を大幅に縮小し、プラズマから撤退し、液晶は外部調達を拡大すると報道され尼崎工場わずか7~8年での廃止、姫路工場は縮小の意向が伝えられています。県はパナソニックを誘致すれば地域経済も雇用もよくなると多額の補助金を出してきましたが、非正規雇用の労働者が大量にリストラされ、中小企業への経済波及効果も具体的に説明されなかったことをふまえて、パナソニックに対し補助金の全額返還を求めるべきです。しかし、県は来年度もパナソニックに10億円の補助金を出す予算を計上しており、このような税金の使い方は認められません。
 一方、中小企業向けの予算は、ほとんど融資ばかりです。中小企業にこそ税の軽減など支援策を講じるべきです。県議会で請願が採択されるなど、要望の強い住宅リフォーム助成制度も予算化されていません。
 また、中小企業の仕事起こしにもつながると期待の大きい住宅用太陽光発電設備設置補助は、廃止の提案がされています。原発に代わる自然エネルギーの普及の足を引っ張るものです。
 農林水産業では、TPPや輸入拡大で切り捨てられることになる大多数の小規模農家を支援するものではなく、国際競争に勝てる農業をと集約化・大規模化を推し進める方向です。農林水産業と食糧自給率、食の安全・安心を守る立場がありません。

不要不急の大型開発

 第2に、不要不急の大型開発を進めるとともに、これまでの破たんのツケを県民に押しつけていることです。
 新年度も国際競争力強化などを理由に、また安倍内閣の国土強靭化対策に乗じて浜坂道路や新名神高速道路など基幹道路網の建設を進め、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路などの早期事業化を図るとして高速道路網整備に100億円近い予算がつぎ込まれようとしています。
 県民にさらに大きな負担を押し付けることになり、さらには今後既存の道路、橋りょうなどの老朽化対策に莫大な費用を伴う高速道路建設は、これ以上進めるべきではありません。
 第2号議案「平成25年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」では、計画が破たんし塩漬け土地となっている但馬空港周辺、三木新都市、淡路多賀用地などの取得費用の償還のため公債費を繰り出すとともに、更なる取得を目的に積み置くものです。当初の開発計画の破たんについての説明や時価を明らかにしないまま、失敗のツケを県民に押しつけようとするものです。
 第4号議案「平成25年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」も宝塚新都市など無駄な用地取得による借金返済の増大があり、またあらたに30億円積み置くもので、賛成できません。

 第20号議案「平成25年度地域整備事業会計予算」についても大規模プロジェクトなどの行き詰まりを事業ごとに明らかにし、縮小すべきであることから反対です。
第2次行革を引き続き実施、福祉医療削減継続

 第3に、国の社会保障切り捨てから県民を守るのでなく、福祉・医療・暮らしの予算を減らしていることです。
 国は、新年度から食費や光熱費など日常の暮らしに欠かせない生活保護費の基準を今年8月から3年かけて引き下げ、扶助費670億円(6・5%)を減額する計画で、県もそれにあわせて削減しています。
 今回国が予定している削減幅は過去に例をみない大幅なものです。受給者だけでなく、収入が少ない低所得者の暮らしを支えている就学援助、個人住民税の非課税限度額の算定、保育料や医療・介護の保険料の減免制度や、最低賃金にも影響を与えます。最低生活ラインを引き下げ、底なしの貧困をまねく生活保護削減は許されません。
 また、第2次行革を引き続き実施し続けています。県民の強い声に押されて子どもの医療費助成の対象年齢をひろげましたが、こども・障害者医療費助成の所得制限強化(世帯合算)を本格実施するなど、福祉医療の削減を続けています。
 障害者小規模通所援護事業は、算定方法を変更し、補助額を引き下げました。
 こうした福祉・くらしの予算削減は認められません。
 併せて、第38号議案「第2次行財政構造改革推進方策変更の件」についても、県民サービスの削減を変わらず押しつけるもので賛成できません。

県民合意のない「高校改革」

 第4に、県民合意のない「高校教育改革」を押し付け、教育予算を削減していることです。
 県下各地で強い反対の声があがった16学区から5学区への高校通学区拡大の方針を進めています。特に新年度予算(案)では平成27年度入学者選抜からの導入に向け、複数志願選抜制度を全県に広げ、生徒・保護者等への周知・広報の予算を計上し、新しい通学区域・選抜制度に対応した合否判定処理システムの開発予算を計上しています。競争を拡大し、高校の序列化をすすめ、通学費、通学時間の負担を押し付けるこれら計画を白紙に戻し、生徒・保護者、地域住民、学校関係者などの意見を十分に聞き、現行制度の改善に取り組むことこそ必要だという立場から反対です。
 新年度から、高校奨学金の未収金回収が民間債権回収会社に委託されますが、福祉的事業の側面が大きい所から、委託すべきではありません。

 第5に、行革による3割の人減らしを続け、職員の給与カットを行っていることです。
 職員給与は、一般職員の給料や期末・勤勉手当の独自カットを継続しています。また、住居手当を廃止し、影響をうける県職員は、全体の4割、病院局・企業庁職員を含め、約2万4千人にものぼります。職員・教職員とその家族の生活を大幅に狂わせ、将来設計におおきな影響を与えるものです。
 さらに、退職手当を今年度に引き続き、年度途中で150万円ひきさげます。
 住民の安全を守り、暮らしに密着したサービスを提供する公務員の役割の重要性が東日本大震災や各地の自然災害でも明らかになっています。また、今不況の打開、経済の好循環を作り出すためにも、冒頭申し上げた様に、雇用者報酬をあげ消費を活発にしていくことが経済成長戦略のカギであることが、コンセンサスとなりつつあるときに、それに逆行する施策であることからも賛成できません。
 また、庁用自動車運転手の住宅手当の削減など給与カットを行う第8号議案「平成25年度兵庫県庁用自動車管理特別会計予算」にも人勧による住居手当の削減があり賛成できません。
 併せて、第25号議案「平成25年度兵庫県職員定数条例等の一部を改正する条例」も第2次県「行革」に基づき、県職員237人、病院職員は医療職員10人、医療職員外職員17人、教育委員会の事務局職員9人、警察事務職員5人、削減するものであり賛同できません。人員の削減で必要な業務量がこなせず、年間の超過勤務が360時間を超える職場もあり、県民のニーズに応えるサービスが可能な業務執行体制が求められています。

 次に、その他の会計予算についてです。
 第5号議案「平成25年度県営住宅事業特別会計予算」は、低所得者向けの住宅が大幅に不足している中、新規建設がありません。
 また、家賃設定の設備係数の見直しにより、家賃が値上げになる入居者が出てきます。
 新年度から、承継基準も見直され、入居者名義人が亡くなった場合などに、引き続き居住できるのは配偶者及び高齢者・障害者等に限定するとしています。入居者や県民の意見をほとんど聞くことなく決定されており、不当なものと言わざるをえません。
 さらに、借り上げ復興公営住宅の入居者に転居を迫っていることも重大で、容認できません。

 第11号議案「平成25年度母子寡婦福祉資金特別会計予算」は、償還金の回収を民間委託していますが、少額返済していた女性に全額一括返済を何度も迫った例があり、福祉的な貸付金の回収を民間委託すべきではありません。

県立こども病院のポーアイ移転の撤回を

 第16号議案「平成25年度兵庫県病院事業会計予算」は、通院を生活の柱にしていた患者の声を聞かず、何よりも災害時要援護者となる母子が集まる病院としてはふさわしくない人工島ポートアイランドへの移転を推し進めようとすることから、賛成できません。
 県は、神戸中央市民病院近くに移転するメリットを強調しますが、同病院は、現在小児科医が不足し、神戸・阪神地域の5病院から応援をもらってようやく小児三次救急を成り立たせている状況です。こども病院が神戸中央市民病院小児科の肩代わりするのかと思われても仕方がありません。
 またキャリーオーバー対策については、神戸大学病院の医師がこども病院で研修され、本年1月から神戸大学病院で成人の先天性心疾患外来が開設されたように、神戸中央市民病院が独自にその医師体制を確保することが肝要であり、近くに移転する必要はありません。

 第17号議案「平成25年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」は高い県水を市町に押しつけていることから、また第18号議案「平成25年度兵庫県工業用水道事業会計予算」は新日鉄などの水道料金を不当に安くしていることから賛成できません。

 次に、条例関係議案についてです。
 まず第23号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」については、粒子線医療センターにおける転移ガンの粒子線治療料をこれまで通常治療料の1/3、96万円としていたものを、1/2、144万2千円に引き上げるもので、50万円近く患者負担が増えることから賛成できません。
 次に、第24号議案「知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 ガス用品の提出命令に伴う損失補償に関する事務や、電気用品の提出命令に関する事務等を市町に移管するものですが、現在の町の立ち入り検査の実績は年間1回か2回がほとんどで、全く実施されていない町もあるなど、市町の対応は体制も含めて十分ではありません。
 また、特設水道の布設工事の設計確認事務の各市への移譲、ばい煙施設、ダイオキシン特定施設の届出事務の明石市への移譲が含まれています。
 これらの事務は、県民の安全を守るために県が責任を持つべきであり市町に移管すべきではありません。
 第26号議案「公立大学法人兵庫県立大学の設立等に関する条例」の制定については、独立行政法人化で県立といいながら県の責務が弱まるものです。企業経営の考え方が導入され、評価委員会の設置で業務実績が評価されること、教職員の身分も不安定になるなど、研究活動を保障する環境整備に逆行することから認められません。
 第29号議案「準看護師試験委員に関する条例を廃止する等の条例」は、準看護師の試験申し込みなど、今まで各健康福祉事務所が窓口で県医務課の所管だったものを、試験の申し込み書の取り寄せや免許の申請などすべてを関西広域連合事務所に一本化するものです。身近なところに窓口や相談体制などは置いておくべきで、全ての事務を移譲する必要がないことから賛成できません。
 第30号議案「産業の集積による経済及び雇用の活性化に関する条例の一部を改正する条例」は、市街地における低未利用地の高度利用として大規模な工場跡地等の活用をはかるため、企業立地補助金制度を拡充するものですが、大企業を誘致すれば自然と地域経済や雇用がよくなるわけではないことは、パナソニックの例で体験済みではないでしょうか。自力のある大企業にではなく、中小企業に対して税の優遇措置を講じるなど、中小企業の経営とその雇用にこそ税金を使うべきだとの考えから本議案には反対です。
 第33号議案「兵庫県学校職員定数条例の一部を改正する条例」は、県立大学の法人化に伴い744人を削減するとともに、大学職員の定数配分を知事が定める規定を削除するものです。今後、職員定数や授業料の設定など法人内部で決めることになり、議会のチェックなしに決まっていくことから、県立大学教職員の身分、教育環境に県が責任を持たなくなるものです。
 また、学校教職員の定数を24年度の41,213人から41,164人へと49人削減し、その中で県単独の教職員が「行革」で13人も減らされるものです。新年度も小学校等で統廃合が進む地域があり、地域の活力低下が懸念されます。尼崎では、市立城内高校と市立尼崎工業高校が統廃合のため募集停止となりますが、わが党は従来から働き・学ぶ定時制高校の廃止には反対している立場から、本条例には賛同できません。
 第34号議案「兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」は、移転について当初説明会も開かず、地域住民の不安の声を押さえつけて海岸部への移転を推し進め、周囲に4mの高さに防潮壁をめぐらせたことから見た目にも危険な立地であることが誰の目にも明らかとなった県立淡路病院の設置が含まれていることから、賛成できません。
 第35号議案「関西広域連合規約の変更」は、新たに文化振興、農林水産の振興、広域職員研修などの事務を拡大し経費の負担金のルールを変更するものですが、もともと広域連合でなくても府県間の連携でできるものであり、道州制への議論もある中、本議案には賛同できません。
 第40号議案「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対する出資」は、本四架橋に33億円の出資を行うもので賛同できません。
 次に、公の施設の指定管理者の指定についての議案です。
 「公の施設」とは「住民の福祉を増進する目的」で利用する施設であり、むやみに指定管理者に運営を委ねるべきではありません。第42号議案「相生港那波旅客来訪船舶桟橋、指定管理者の指定の件」、第43号議案「津名港志筑来訪船舶桟橋、指定管理者の指定の件」、第44号議案「兎和野高原野外教育センター、指定管理者の指定の件」は、それぞれ県の施設でありながら議会の承認なく一定の範囲内で値上げが可能な利用料金制があることから、賛同できません。
 以上、議員各位のご賛同をお願いし、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。


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