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2018年度予算特別委員会

3月15日 2018年度予算組み替え案提案説明…国保負担軽減など医療・福祉支援、中3まで医療費無料化など子育て支援、県給付制奨学金創設、私学学費負担軽減、労働者の働き方に配慮する中小企業支援、防災対策、再生可能エネルギー促進、不要不急の公共事業見直し、大企業誘致補助金削減等

2018年03月15日

日本共産党県会議員団のきだ結です。日本共産党の2018年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。

知事は、2018年度予算案の説明で、県政150年にも触れながら、「厳しい財政環境のもと、行財政構造改革の総仕上げに取り組み、兵庫県の新時代を切り開く施策を進めていかなければならない。予算編成にあたっては、国の制度改正や地方財政措置を踏まえつつ、県民の要請に的確に対応するため、選択と集中を徹底した」とおっしゃいました。

しかし、この委員会でも指摘しましたが、厳しい財政環境をつくってきたのは、震災以来、創造的復興と銘打ち、空港や港、高速道路など大型公共事業を促進してきたことで借金がふくれあがったものであり、24年ぶりの収支不足の解消といいますが、行財政構造改革の名のもとに、県民の医療・福祉、暮らしを大幅にカットしてきたことによるものです。

また、「選択と集中」といわれますが、産業では、効果が限定的な企業誘致のための産業立地補助を積み増しし、ITカリスマ誘致など、効果が未知数である次世代産業に偏重する一方、県経済の基盤である中小企業への支援が十分とは言えません。農業では、大規模化、法人化の促進をすすめる一方、小規模営農への支援が届くものになっていません。

日本共産党県議団は、県提案の2018年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる提案として、18年連続となる、予算組み替え動議を提出するものです。

組み替えでは、まず全体の規模は、一般会計を中心に、ムダ・過大・不急等、見直しが必要な事業を98項目、合計352億円を減らし、そこから生み出された一般財源と特定財源をあわせた約103億円を、井戸県政がすすめてきた行財政改革で切り捨てられた医療、福祉、教育分野の復活、県民の暮らし、産業、農業の発展、子育て充実、安心できる環境など36項目の増額に充当しています。

また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、200億円抑制しています。

それでは、主な内容について説明いたします。
1.第1の柱は、医療・福祉分野への支援を強めるための組み替えです。
 4月から、国民健康保険の都道府県化がすすめられようとしています。ただでさえ高すぎる国保が、都道府県化によって、さらなる負担増と徴収が強化されることへの懸念がひろがるなか、県民の国保負担を軽減させることは喫緊の課題です。私たちは、予算全体を見直し、9億円の一般財源の法定外繰り入れをおこない、均等割負担軽減など、国保負担を軽減させます。
 また、行革で削られた、老人医療費助成制度を復活させ、重度障害者(児)の医療費助成は、以前の「行革」で導入された世帯合算方式の所得制限を元にもどす予算に増額します。難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
 廃止された看護師学生就学資金貸付金についても、復活する予算を計上しました。
2.二つ目の柱は、子育て支援を強めるための組み替えです。
 こどもの医療費は、県全体で、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化するため、約61億円の予算を増額しています。
 中3まで医療費無料の自治体は、ますます大勢となり、現在、県下41市町中35市町で実施されていますが、三田市が、財政状況の変化を理由に、今年7月から、一部負担を復活させるという逆流も生まれています。
 県の制度として、子どもの医療費無料化をおこなうことが、各市町へ子どもの医療費無料化への大きなメッセージなります。ぜひ実現させたいと考えています。第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、約2億4000万円増額しています。
 待機児童解消の対策の一つとして、行革で削減された民間社会福祉施設運営支援事業費補助を7100万円増額し、保育士の処遇改善などにあてます。
3.三つ目の柱は、教育分野の支援を強めるための増額予算です。
 高校、大学などの高学費によって苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
 国が給付制奨学金の実施をスタートしましたが、対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。そこで県として大学生向けに、年間36万円を1000人分に給付する制度を創設しました。
 兵庫県の私立高校の学費負担は深刻です。予算審査の中でも指摘しましたが、兵庫県の私立高校学校の初年度納入金の平均額は、83万7,936円で全国平均72万8,280円より約11万円も高く、全国で第4位の超高額学費負担県になっています。この負担を軽減することが必要ですが、県は、国の交付金単価、国庫負担金単価引き上げを理由にした県独自助成の単価カットを継続しています。この単価カットをやめ、一人当たり単価を2050円上乗せするために、7265万8000円増額しています。
 さらに現在、小学4年生で止まっている35人学級を6年生まで実施するため約8億8400万円を増額しました。教職員の働き方、長時間労働は深刻です。少人数学級をすすめて教職員数定員をふやし、きめ細かい教育をすすめるとともに、教員の働く環境の改善にもつなげていきたいと考えています。
 なお、知事提案の予算案において外国人学校振興費補助の要件を見直し、朝鮮学校6校などの教育充実分を削減するというものがありますが、県が推進する多文化共生社会に反し、教育内容への不当な介入につながる懸念もあり、容認できません。減額をやめ、2700万円を増額する提案をしています。
4.第4の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
 ひとつは、働き方改革に関わって、ワークライフバランス推進企業への支援強化です。現在、国の働き方改革の議論で裁量労働制による労働時間のデータ改ざん問題が大問題になっており、労働者の働き方が、問われています。県は、3月6日、兵庫県雇用対策協定を兵庫労働局と締結し、働き方改革や地域における雇用対策などについて、運営協議会を設置し推進していくこととしました。わが党もこの間、長時間労働規制、過労死の根絶など、県として推進していくことをもとめてきましたので、労働局との協定締結によって、施策が進むことを大いに期待します。そのうえで、今回の提案では、労働時間短縮、インターバル制を導入し、労働者の働き方への配慮をおこなっている企業に対し、ワークライフバランス促進中小企業支援事業として3億円の予算を計上しました。また「過労死ゼロひょうご」実現のために、促進事業費として1000万円計上しています。ぜひ、連動した取り組みにしていきたいと考えています。
 さらに、県が中小企業の人材確保と若者支援の重点施策と位置付ける「兵庫型奨学金返済支援制度」は、さらに活用しやすいものにするために、県と企業負担割合を、2:1に改善するために、2800万円の予算を増額しました。
 県内でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、それぞれ2億円、1億円の予算を計上しています。
 中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
 また、兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。とくに中山間地の小規模農家を支援するために、新潟県でおこなわれているサポート事業にも学び、小規模農家公的サポートモデル事業として、7500万円の予算を確保しました。
5.第5の柱は、環境対策、防災対策、再生可能エネルギーなどをすすめる施策についてです。
 予算審議では、神戸製鋼による石炭火力発電所増設計画についてとりあげましたが、いま世界の流れを見ても、石炭火力発電の見直し・廃止は待ったなしです。本予算案では、地球温暖化対策を兵庫県が、先頭に立ってすすめる施策への決意として、石炭火力発電所の立地禁止を定める政治指針策定のための調査費を新設しました。
 福島原発事故は、大きな被害をもたらし、いまだに収束しておらず、全容解明に至っていないなか、大飯原発3号機が、昨日、再稼働されました。福島原発事故の教訓は、原発ゼロを実現するということです。組替え提案では、石炭火力発電、原発をやめ、自然エネルギーへの転換をすすめるために、「住宅用太陽光発電設備設置補助事業費」を復活させ、7500万円を、自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費に600万円をそれぞれ計上しました。
 東日本大震災から7年、阪神淡路大震災から23年となりますが、震災の教訓をふまえた施策をすすめていくことがもとめられます。南海トラフ地震が予想されるもとで、防災・減災対策を急がねばなりませんが、県内の民間住宅の耐震化は、約85%(2016年度)です。今回の予算提案では、民間住宅の耐震改修促進事業費を1億円増額しました。
 環境対策、鳥獣被害対策として、シカ有害捕獲事業の予算を増額しています。
6.第6の柱は、過大性や問題点を見直した公共事業や、大企業呼び込みで地域経済の発展につながらない産業立地補助金など削減した予算についてです。
 神戸空港への補助、但馬空港関連予算などで約12億5000万円、大阪湾岸道路西伸部整備事業や播磨臨海地域道路、名神湾岸連絡線など高規格道路の調査費、園田西武庫線など不要・不急の道路関連事業費について約102億円、大規模森林基幹道で約1億7000万円を減額し、国が負担すべき国直轄の公共事業については約96億円を全額削除しました。
 本社などの呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退によって、その効果に疑問がつきつけられている産業立地補助金約16億円を全額削除しました。
 関西広域連合分担金3億2000万円の削減や、「裏金疑惑」のある警察の報償費、不公正な同和行政が残る事業、部落差別固定化の懸念がある部落差別解消推進法にもとづくパンフレット作成費、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
 県会議員の海外視察についても友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなどの簡素化で半減しました。

以上が予算組み替え提案の主な内容です。

一般質問では、県政150年の歴史をふまえ、安倍政権が狙う改憲を許さず、9条をはじめ、憲法の平和的民主的諸原則を守り、生かす県政への前進をもとめました。そのうえで地方自治は、憲法に定められた地方自治の本旨にもとづき、住民の福祉の増進をはかることを目的としています。私たちの提案は、「住民福祉の増進」を何よりも大切にしたものです。

県民の平和と安全、命を守り、福祉、くらし、教育を支え、地域の産業、農業を発展させる兵庫県予算となるよう、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、日本共産党県会議員団の提案説明を終わります。

ありがとうございました。


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