第330回臨時県議会
2016年02月01日
私は日本共産党県会議員団を代表し、平成27年度補正予算案について質疑を行います。
【子育て環境の整備を】
一点目は、「子育て環境等の整備」についてです。
安倍内閣は、「希望出生率1.8」及び「介護離職ゼロ」をかかげ、緊急対策を打ち出しました。今回の県の補正予算案では、保育所等の整備を目的とした安心こども基金の積み増しや、在宅・施設サービスの整備などを行うための医療介護推進基金の追加積立、また保育人材・介護人材の対策等も盛り込まれました。
しかし、本当に安心できる子育て・介護の環境整備というには不十分です。
保育所整備は、今回の補正で小規模保育45施設、認定こども園7施設を見込んでいますが、定員は、それぞれ735人、214人増えるのみで、増え続ける待機児童の解消に見合いません。前倒しだけでなく認可保育所を基本に、整備目標を引き上げることが必要です。
また、介護施設、特に特別養護老人ホームは、兵庫県の待機者が約2万6千人にのぼっています。国は入所を要介護3以上にしぼりこみ、県も「在宅への移行」をすすめるとして、第5期計画策定前に、整備目標を従来計画から8千床も減らしました。「上乗せ」と言いますが、絞り込みをおこなった整備目標はそのままで、前倒し整備をするにすぎません。
さらに施設を整備しても、絵に描いた餅になりかねないほど深刻なのが、保育士、介護職員などの福祉分野の人手不足です。
国は、介護サービス利用を抑制する改悪をおこなっていますが、介護人材は2025年には全国で37万人、兵庫県で22,500人が不足するとしています。
「公益財団法人介護労働安定センター」が平成26年度に実施した「介護労働実態調査」によると、兵庫県の離職率は19.4%と全国平均16.5%を上回り、約6割の介護事業所が、従業員の「不足」を感じています。その理由については、全国的にみて「賃金が低い」が61.3%、「仕事がきつい」が49.3%となっており、就職しても続けられないという状況が介護職離れを作っています。
介護職員も保育士も、他業種を年間100万円以上下回る低賃金が人手不足の根本的な原因であることは明らかです。
やはり、ここに応える施策を行わなければならないのではないでしょうか。
そこで、保育士・介護職員の確保のため、修学・就業支援だけではなく、就業している人たちや、これから就業しようとする人たちがつづけられるよう、給与の引き上げなど処遇改善を図る対策を求めますがいかがですか。
○井戸知事答弁: 子育て環境等の整備についてであります。
保育人材の確保には、保育職場の魅力の向上が不可欠です。保育士の給与改善、また、実践的な研修、3歳児担当保育士の配置改善など、業務負担の低減等に取り組んできました。さらに、この度の保育人材確保対策事業費補助による潜在保育士の復職や保育補助者の雇い上げ等を進めていきます。
介護職員の処遇改善については、平成27年度の介護報酬改定において、介護職員への月額1万5,000円の処遇改善加算に加えて、更に1万2,000円が上乗せされました。
また、県独自には、メンタルヘルス対策についてのアドバイザー派遣、産休代替職員の雇用費用の助成、キャリアアップ研修の支援などを行っています。
待機児童の解消に向けても計画的に保育施設等の整備を進めていく必要がありますので、平成28年度には、この度の補正で積増した基金や国の交付金を活用して、保育の利用定員を2,000名程度拡大します。
特別養護老人ホームは、本年度からの第6期介護保険事業支援計画におきまして、2025年までに新たに必要となる約1万3,000床の対応について8,000床を特養で、残り5,000床を在宅サービスで対応することにしています。
平成26年6月時点の特養申込者数約2万6,000人のうち、多くは老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の利用者であります。優先入所が必要な重度かつ在宅の待機者は約3,300人でありますので、この早期解消を図ります。
なお、第5期計画策定における検討において、特養入所者の重点化と在宅サービスの充実による在宅移行を図ることとした場合に、8,000床減が見込まれると予測したものでありまして、目標を現実に8,000床削減したものでないことを申し伝えさせていただきます。
【若者・正規雇用への支援を】
次に、「地域創生の本格展開」にかかわって、若者の雇用についてです。
アベノミクスのもと、雇用者報酬はのびず、非正規雇用は4割にまで広がり、その多くが低賃金を強いられています。
厚生労働省の平成25年「若年者雇用実態調査」によれば、15歳から34歳の若者の雇用形態は、全事業所平均で、正社員が63%、正社員以外が37%と、不安定雇用が依然として続いていることがわかります。
特に大企業は非正規雇用を推進しています。厚生労働省が昨年11月に発表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では2011年と2014年との比較で、従業員1,000人以上の事業所では40%が非正規雇用労働者比率が上昇したと答えています。中小規模の事業所と比べても高い数字です。
賃金は全体的に低く抑えられています。正社員で32%が20万円未満、非正社員では82%が20万円未満となっています。
日本民主青年同盟が行っている「若者の仕事・生活実態調査」から県内の青年の事例をあげます。
①26歳、女性、服飾店店員、パート。一日7時間、週5-6日で手取りが10万円。社員割引で服を買って接客のため自己負担が重い。社会保険や厚生年金などに入れないのが不安。
②25歳、女性、児童館非常勤職員と障害者グループホーム世話人をかけもち。手取りが約10万円。社会保険や厚生年金などに入れていないのが不安。
24歳、女性、サービス・物流業種の正社員。手取り約15万円、賃金が低い。人手が足りない。入社時の話と実際の仕事が違う。
など、働きづらさや働いても生活しづらく、将来に不安を抱えている実態が浮き彫りになっています。
内閣府が平成25年度に13歳から29歳の若者を対象に行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の国際比較では、職場の満足度がアメリカ・イギリス・ドイツが70%以上であるのに対し、日本は46.1%と低く、また、現在、あるいは将来への不安について「十分な収入が得られるか。78%」「老後の年金はどうなるか。78%」など高い割合で、不安を感じています。
今回の補正予算では、中小企業が非正規雇用から正規雇用へと転換した際に助成される国のキャリアアップ助成金を企業に周知するための事業が計上されていますが、更なる支援が必要だと考えます。
持続可能な地域をつくるカギは、働く場があり、暮らしていける所得があるかどうかです。
そこで、国が早急に最低賃金を抜本的に引き上げることを求めるとともに、安定した雇用と賃金の引き上げを後押しするために、キャリアアップ助成金を企業に周知するだけではなく、東京都のように自治体がそれに上乗せをして、中小企業が正社員雇用を増やすことに踏み出せるよう、兵庫県が積極的に後押しする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○石井産業労働部長答弁: 若者の雇用促進につきまして、私からご答弁申し上げます。
非正規雇用の問題につきましては、先日、国の正社員転換・待遇改善実現本部におきまして、非正規の正社員転換や若者の正社員就職率の向上等を柱とする平成32年度までの取組がまとめられたところです。今年度中には兵庫労働局が設置し、県も参画をしています地方本部において、兵庫県版プランが策定をされ、多角的な取組を進めることとしています。
県としては、キャリアアップ助成金の制度定着と合わせ、県独自の措置として経営者の意識改革を図りますため、非正規雇用の処遇改善がもたらす経営上のメリットを伝えるセミナーの実施や意欲ある企業が円滑に取組を進めるための専門家による指導など、幅広い支援を実施してまいります。
また、最低賃金につきましては、周知徹底を図りますとともに、国が示している引き上げの方針に沿って、中小企業等の生産性向上に向けた支援等必要な対応を行ってまいります。
これらの取組に併せまして、兵庫の若者を正社員として積極的に採用する県内中小企業を「ひょうご応援企業」として情報発信し、若者とのマッチングを図ってまいります。
キャリアアップ助成金につきましては、東京都のような対応ではなく、制度発足後3年目であり、県内における受給状況や効果等を見極めつつ、まずその活用を積極的に図ることが重要と考えています。引き続きよろしくご理解をいただきたいと思います。
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