第333回本会議
2016年10月03日
県行革プランについて
きだ結議員 日本共産党県会議員団のきだ結です。6項目、分割方式にて質問いたします。
まず、行革についてです。
県議会では第3次行革プラン3年目の総点検について、特別委員会を設置し議論をされているところです。総点検にふさわしく、不要不急の大型公共事業、大企業優遇の施策から転換し、行革によって削減された医療、福祉、教育などの事務事業回復と平成30年度までの期間を延長しないことを求めて、以下質問いたします。
県は分野別の見直しの視点として、他の公共団体と比較して均衡を逸している事業を挙げています。兵庫県は産業立地条例によって、県内進出事業者に対し、交付基準に基づき上限なしで設備投資額の3%を交付することとしています。しかし、上限のない補助金支出を行っているのは、わずかな団体だけです。これこそ他の公共団体と比較して均衡を逸している事業そのものではないでしょうか。
投資事業では、事業評価の厳格運用を新たな見直しの視点として挙げています。そうであれば、阪神・淡路大震災からの創造的復興事業はどうなのでしょうか。
一例を挙げると、県も支援してきた神戸空港は、当初旅客見込み数434万人に対して実績は253万人にとどまっています。淡路交流の翼港は、利用計画は1日20隻というものでしたが、実績は定期航路は回航されず、プレジャーボートの1日平均2隻程度にとどまっています。
県は今後播磨臨海地域道路など大型公共事業の推進を挙げています。事業評価の厳格運用を行うというのであれば、これまでの過大な需要予測に対する検証と反省を求めます。不要不急の大型公共事業と大企業優遇の施策から転換し、行革によって削減された医療費助成事業など事務事業回復と、65歳から69歳以下の医療費助成事業の存続を求めます。
また、県は政令市、中核市の負担のあり方の見直しを挙げていますが、一方的な見直しはやめるべきです。
例えば教職員給与について、政令市、神戸市の分の県費負担が学級編制、任命権も含めて権限移譲されますが、権限移譲とは関係のない自然学校や特別自然学校交流体験チャレンジ事業、わくわくオーケストラといった県が始めた体験教育の費用まで、この際、神戸市単独でやってほしいという内容が盛り込まれています。8月に県の方針の説明を受けた神戸市や学校の校長会は、県が始めた事業なのになぜ財源を引き揚げるのかと驚きと困惑が広がり、継続を求める声が上がっています。私も直接要望を受けました。兵庫県が全県の学校で実施をしてきた事業です。行革にかこつけた削減はやめ、財源も含めて県としての責任を今後も果たすべきです。
以上、併せて答弁を求めます。
知事(井戸敏三) 日本共産党議員団のきだ結議員のご質問にお答えいたします。
私からは県行革プランについてであります。
震災からの創造的復興事業に伴います負担に加えまして、長引くデフレ経済や三位一体改革による影響などに伴い、財政環境が悪化したことから、将来にわたり県民の要請に応える行財政基盤を構築するため、行財政構造改革に取り組んでおります。平成30年度の目標達成に向けて、3年目の総点検にしっかりと検討を進めてまいります。
ご質問の事務事業について他の公共団体と比較して均衡を逸している事業とは、現在の社会経済状況から見直しが必要な事業を示す視点の一つであります。
具体的に何かというと、じゃあその事業は見直し対象になるのかと言われそうですので、これは企画部会案のときにお示ししたいと思っております。
企業立地の取組は、地域に人の流れを促し、雇用を生み、地域経済を活性化させるために行っています。
老人医療費助成は、65歳から70歳を老人として特別な対策を行う必要があるかどうかを検討するものです。他の医療費助成は必要な配慮を制度化しておりまして、旧に復することは難しいと考えています。
投資事業については、震災復旧・復興のため高い水準となった事業費・事業水準を地方財政計画の水準にすることを基本に、しかし本県独自の道路整備、津波対策、老朽化対策などの需要に応えられる水準として検討してまいります。
特に本県の道路の課題は、ネットワークが不十分で、また容量不足から生じる渋滞対策が不可欠です。大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海地域道路、北近畿豊岡自動車道などの整備を急ぐ必要があります。
ご質問の神戸空港は厳しい運用制限がある中、開港10年で累計で2,658人が利用しました。平成27年度の利用者数は自治体管理空港65空港の中で1番です。253万人になっています。
交流の翼港は、さらにご指摘のように利用するなら利用を促進する必要があります。これは検討させていただきます。
県と政令市、中核市の負担のあり方は、基本的には権限に応じて国の制度や交付税など財源措置がなされております。類似の事業との均衡などから見直しを行おうとするものです。
学級編制基準とか教職員定数の決定に関する権限の政令市、神戸市への移譲ですけれども、平成29年度から、その財源として個人住民税所得割の2%分は神戸市に移ることになっています。これに伴い、この2%分の留保財源である25%分も自動的に移譲されてしまいます。
したがいまして、この単独事業が実施できる留保財源であるこれを、この財源を活用して、自然学校とかトライやる・ウィークで代表される体験教育も神戸市が主体となって実施していただくことがふさわしいと考えているものです。
企画部会案の策定に当たりましては、さきの行財政構造改革特別委員会でいただいたご意見、行革審議会や県民会議からの意見などと合わせまして、その趣旨を参酌しながら取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
こども医療費助成の拡充について
きだ結議員 次に、こども医療費についてです。
日本共産党県議団は、これまでも子育て支援の重要な柱として、中学3年までの医療費無料化の所得制限なしでの実施を一貫して求めてきました。県制度は対象が中学3年までに広がってきたところですが、この間の行革による事務事業の見直しで、世帯合算など所得制限の強化、一部負担金の値上げが行われてきました。
一方、市町では、県制度に上乗せして制度の拡充が進んでいます。神戸市は、今年7月から就学前までの所得制限を廃止し、一部負担金も500円から400円に引き下げるなど、今年度は12市町で拡充が進み、中3まで無料になったのは合計34市町、県下の8割を超える自治体に広がりました。さらに、そのうち所得制限も廃止した自治体は新たに三木市、稲美町、猪名川町、市川町、福崎町が増え、合計15市町、昨年の1.5倍へ広がっています。小野市は所得制限なしで高校3年まで対象を広げています。
国が福祉医療助成を実施する自治体に国庫補助を減額するペナルティーを科しても多くの自治体が無料化を進めるのは、安心して子供を産み育てたいと子育て支援の充実を求める県民の切実な願いはもちろん、活力あるまちの発展につながると各自治体が施策の重要な柱と位置づけていることの表れです。
明石市では、平成25年7月から中学3年まで所得制限なしで無料化が実施されています。市にお話を伺うと、こども医療費助成の完全無料化は貧困対策ではない、市は子供を核としたまちづくりを掲げ、全ての子供を対象に進めている、そうであれば所得制限という考えはなじまないということです。県もこのような発想の転換が必要ではないでしょうか。
医療費を無料化するとコンビニ受診が増えるのではないか、こんな批判もありますが、明石市では実際に夜間・休日診療も含め、受診回数が増えている実態はありません。これは全国どこでも同じ結果です。明石市の市民アンケートでは、子育てに安心感が持てるようになったとの声が寄せられています。地域創生と言うのなら、子育て支援に力を入れている市町を応援し、安心して子育てできる環境を一層整えることが必要ではありませんか。
県として子育て支援の柱に位置づけ、中学3年まで所得制限をなくして完全無料化とすること、また、国に対し国庫補助減額のペナルティーの廃止とこども医療費無料化制度を国として実施することを求めるべきと考えますが、お答えください。
健康福祉部長(太田稔明) 私からは、こども医療費助成の拡充についてお答えをいたします。
おっしゃいましたように、子育て世代の経済的負担の軽減は重要な課題でございます。本県では、平成22年4月に中学3年生までの入院を対象に、こども医療費助成事業を創設をいたしました。大変厳しい財政状況の中ではございますが、選択と集中を行いながら、制度の充実に取り組み、平成25年7月からは通院の対象を中学3年生にまで拡充をいたしました。この結果、助成の対象年齢は全国トップクラスの水準となり、乳幼児こども医療費助成事業は子育て支援策として、若い世代が安心して子育てできる環境の整備に大きな役割を果たしたと考えております。
その中で、自己負担は受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定したものにするために必要と考えております。低所得の方々には負担軽減の配慮を行っております。また、この制度は支援を必要とする方に対して医療保険制度の自己負担を軽減するということを目的としておりまして、所得制限は必要と考えておりますので、ご理解賜りたいと思います。
なお、県の福祉医療制度は、全市町共通の基盤の制度として実施をしておりまして、市町の独自措置は地域の実情に応じて市町の判断により実施されているものと認識をいたしております。また、国に対して国庫負担金減額措置の廃止及び乳児等の医療費助成制度の国における早期の制度化を要望した結果、現在国において国保減額調整措置をはじめ、子供の医療制度のあり方について検討されておると聞いております。
県といたしましては、今後も社会情勢の変化に的確に対応しながら、将来にわたり持続的で安定した制度としてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
35人学級の推進について
きだ結議員 次に、35人学級編制の推進を求めて質問をいたします。
日本共産党は昨年3月、財源の裏づけを示し、全国の小中学校全学年を8年計画で35人学級にすることを提言をいたしました。
現在兵庫県は選択制ではありますが、小学校4年生まで35人学級へと前進させてきて、ほとんどが35人学級を選択しています。その効果は毎年の新学習システム推進状況調査で、ほぼ全ての小学校が生活指導において効果的であり、かつ学習意欲の向上、一人ひとりに応じた学習指導、つまずきのある児童への対応など学習指導において効果的であると回答しています。教育的効果には疑念の余地がありません。
地元の神戸市東灘区の複数の小学校の校長先生にお聞きしました。小学5年に上がり40人学級編制になっても教室の大きさは変わらず、子供たちの体は大きくなるので、机の間を通るのにも苦労するような状態。思春期に入る時期でもあり、特に一人ひとりと向き合い、話を聞き、一声かけることが必要なときに、1日を振り返って、今日はあの子に声をかけたかなと思うときがある。連絡帳や日記の返事をあと1行、あと一言が書けるか書けないかの違いに出てくる。また、教育の効果は、学力調査テストの結果などすぐに数値として表れるものだけではなく、また費用対効果で考える対象でもないこと、先生の声かけで数学が好きになって進路を決めた、先生の一声で自分に自信が持てるようになったなど、長い目で測られるべきものでもあると語っておられたのが印象的でした。
しかし、国の動きはどうでしょうか。少人数学級の拡大に必要な教職員定数を増やすどころか減らそうとしています。
文部科学省の来年度の概算要求で、加配定数分を中心に今年度と比べて3,060人の増員を求めていますが、基礎定数分は少子化で3,100人減るため、実質40人分の減少となります。さらに文部科学省は、財務省の提案を受ける形で小2も2017年度から小1と同じ35人に引き下げるという報道がありました。財務省は加配定数を今後自動的に減っていく基礎定数に振り替え、加配定数を圧縮しようという思惑であり、関係者は警戒しています。いじめや不登校、教育格差に関する支援等一人ひとりにきめ細やかな対応ができるよう充実こそ必要です。
現在兵庫県は小4までの35人学級編制のために国庫の加配措置を中心にしつつ、県単独では40人分を確保しています。県教育委員会は国の動向を見て35人学級を他学年にも拡充すると言いますが、現在国、特に財務省の圧力の中、教育現場の要求どおりの予算をかち取ることは容易ではなく、国庫措置待ちでは進みません。
そこでお尋ねします。国、特に財務省は、一人ひとりにきめ細かい教育をと活用されている加配定数を減らすため、効果を数値化することや全国学力テストの結果の公開や費用対効果などと迫っていますが、今でも教職員配置は十分でない教育現場の実情を鑑みない異常なものであると思いますが、ご認識をお伺いします。
また、国に対して少人数学級前進のための予算を引き続き強く要望するとともに県独自に少人数学級編制の前進を更に進めるべきではないでしょうか、答弁を求めます。
以降は質問席にて行います。
教育長(高井芳朗) 35人学級の推進についてお答えいたします。
国による少人数学級の拡充につきましては、平成23年度に小学校1年生の35人学級編制が基礎定数化をされ、24年度に2年生で加配措置という形でそれが行われて以降、ここ数年間、教職員定数は改善されていません。
そうした中、文部科学省の29年度、来年度予算の概算要求では、教職員定数の中期見通しとなります次世代の学校指導体制実現構想という名で、今後平成38年度までの10ヵ年で、自然減の影響を除いて約3万人の定数改善を図ることとしています。初年度の29年度では、通級による指導及び外国人児童生徒への教育の充実を図るため、加配定数の基礎定数化が要求されており、児童生徒数や学級数に連動して全国一律に行うべき政策について基礎定数化を図る動きが見られるところです。
少人数学級の拡充につきましては、義務教育の機会均等及びその水準の確保などを保障する責務を有する国が措置すべきものでありますことから、こうした動きの中において、小学校2年生以降の35人学級編制の基礎定数化などの拡充についても構想に盛り込み、着実な定数改善を図るよう、全国都道府県教育委員会連合会等と連携しながら、国に強く働きかけているところであります。したがって、県単独での拡充は考えていないところであります。
一方、文部科学省では、教育政策全般に係る効果検証のための実証研究を実施をして、客観的な効果検証に基づく政策推進を図ろうとしておるところですが、加配効果について、家庭環境など児童生徒が置かれた状況もさまざまに異なる中で、ご質問にもありましたように、これを数値化して評価をするということに大変苦慮していると聞いています。県としても学校現場の実態をしっかりと国に伝えてまいりたいと考えております。
きだ結議員 1点再質問させていただきます。
先ほどの少人数学級編制のための定数改善ですけれども、今おっしゃったように加配定数を基礎定数化して確保していくという流れですけれども、やはり思惑は加配の総定数を圧縮していくということですので、先ほども質問の中でも入れましたけれども、基礎定数で人口減で結局来年度も40人の減ということになりますので、やはりこの間ずっと県教育委員会、そして県としても教職員配置の充実に関する提案ということで、学級編制とともに加配定数の改善ということも要望されておりますので、先ほど学校の実情も合わせてそういった加配定数のことについては申し上げたいとおっしゃっていましたけれども、やはり国に対して財務省の動きは異常であるということをしっかり言っていただきたいのと、それから県ではしませんという話でしたけども、やはりそれだけ効果があるということを認められて国に対しても要望されているんですから、それから学校の実情を聞きますと、やはりそういった今不十分だという声が必ず出てきますので、県単独でもぜひ検討していただきたいということをもう一度ご答弁いただきたいと思います。
教育長(高井芳朗) さまざまな加配定数を基礎定数の中に織り込むということにつきまして、これまで1件ごとに、この加配についてはどんな効果があるといったようなことを財務省と文科省でやり合って、認められたり認められなかったりというふうなことを避けるために、基礎定数の中に織り込んで、そういった無用な議論を避けるという意味での効果はございますが、ご質問にありましたように、学級数、生徒数に連動しない個別の子供たちの状況に応じて加配されるものまでがそこへ織り込まれてしまいますと、機械的に連動して減っていくというふうな大変大きなリスクがありますので、その辺は文科省もよく理解はしてくれておりますが、私どもも何を基礎定数の中に織り込んでいくべきかということについてはよく議論をして、私どもの思いをまた文部科学省の方に伝えたいと思っております。
それから、35人学級の編制は先ほどもお答えしましたように、どのような学級編制でこの国の教育を展開するのかといったようなことは国として定めるべき根本中の根本でありますので、その部分を国がやらないからといって県が単独でやるというのは、いかがかというふうに考えております。
きだ結議員 国がやらなければやらないということではなく、やはり必要なことは県でもしっかりやるということを改めて申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
認知症対策について
きだ結議員 次に、認知症対策についてです。
認知症患者は2025年に全国で700万人を超え、兵庫県では30万から33万人、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
特に胸を痛めるのは、認知症で行方不明になるケースです。昨年、全国では1万2,208人の方が行方不明となり、死亡者は400人、兵庫県では1,309人、死亡は27人、大阪に次いで2番目に多くなっています。認知症患者と家族を支え、包容するまちづくりが急がれます。
認知症になっても安心して外出でき、暮らせるまちづくりのモデルの一つが福岡県大牟田市です。
私は9月18日、大牟田市が2004年から行っている認知症SOSネットワーク模擬訓練を視察し、認知症役の方への実際の声かけも体験をしました。会話するだけでも大変難しいものですが、地域の方は気軽に声をかけておられ、毎年の訓練が実効あるものになっていることを感じました。
大牟田市では四つの柱で事業を進めています。
第1が人づくりで、デンマークをモデルにした認知症コーディネーター養成研修を市独自で行っています。2年間で386時間、座学と実践学習、課題実習等の研修です。第2が早期支援で、物忘れ予防・相談検診の実施です。第3は理解啓発で、認知症サポーターはもちろん、小中学校での認知症の絵本の読み聞かせとグループワークを行っています。第4が模擬訓練です。また、愛情ねっとというSNSも使い、日常的に見守り、声かけをしています。大牟田市の成功は中心に行政が座っていることだと言われています。
厚生労働省は、2017年度から認知症不明者の見守りを強化するため、市町村の担当者を一堂に集め、課題を共有する会議を都道府県が開くことや市町村を越えた広域での訓練も促すとしています。
県下市町では、認知症高齢者等の見守り・SOSネットワークの構築が25市町、模擬訓練を実施しているのは12市町にとどまるなど温度差があります。どの地域に住んでいても認知症の人が安心して暮らせるため、大牟田市のような認知症コーディネーターの養成を県として制度化すべきだと思います。SNS活用で市民参加を進め、また学校での出前講座なども県が主導していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
知事(井戸敏三) 私から認知症対策についてお答えをいたします。
認知症の人を地域ぐるみで見守るとともに、行方不明になった場合に警察等と協力して早期発見につなぐ認知症高齢者等の見守り・SOSネットワークの整備を進めていかなければなりません。
このため、全国に先駆けて昨年度、ネットワーク構築の手引を作成しました。この手引をもとに、平成29年度中の全市町での構築に向け、市町担当者研修や担当課長と連絡会を開催して、今年度は37市町でネットワークが整備され、18市町が模擬訓練を実施する予定です。加えて昨年度、県内市町及び近隣府県と協力して広域的に行方不明者の情報提供と共有ができる体制を作りました。京都府、大阪府、鳥取県、岡山県、徳島県とです。
早期発見、早期対応の県独自の取組としては、認知症の人や家族の相談を受け、認知症対応医療機関ネットワークへの早期受診や介護サービス等の利用につなぐ認知症相談センターを全市町に設置して相談に乗っています。
大牟田市の認知症コーディネーターに相当する人づくりのため、本県では市町で認知症施策を推進する認知症地域支援推進員を養成して、全市町で248名が配置されています。さらに、認知症の正しい理解促進を図るため、一般県民から広く認知症サポーターを養成しております。また、小中学生等からの要請を受けて、サポーター養成講座の講師であるキャラバン・メイトを派遣する取組を現在39市町で実施しています。
はばタンなびのSNSを利用した普及啓発にも取り組んでおります。
今後これらの施策を更に推進し、県内全ての市町で地域住民や関係機関が一体となり、認知症の人やその家族を幅広く支える体制づくりを進めてまいりますので、今後とものご指導をよろしくお願いいたします。
UR借上げ住宅の継続入居について
きだ結議員 次に、借上住宅について伺います。
8月末、継続入居の2度目の判定結果が出されました。対象となる18団地100世帯のうち70世帯が申し込み、69世帯の継続入居が認められました。
この間、明らかになった二つの問題点を挙げます。
一つは、判定委員会に事務局として入っている県当局から、まず事務局考察や判定案が出され、その結論に誘導しようとしている運営の問題です。
判定委員会の詳細、議事録は公開されていませんが、判定委員会で継続入居不可となった75歳未満の入居者が自分が不可となった理由を知るために請求し、開示された資料を見せていただきました。本人は住替えれば通院も生活も困難になると訴えているにもかかわらず、判定委員会で配布される事務局考察では、住替えで通院や外出が困難になることを認めながら、住替える場合のメリットが羅列され、判定案では不可としています。これでは事務局が誘導している印象は拭えません。プライバシーに配慮した判定委員会の公開や本人からの意見表明を可能にすること、そして第三者委員会にふさわしく、事務局の考察、判定案などを出すことをやめ、結論を誘導しないこと、住替えを進める担当者と別の事務局にすることが必要です。
二つに、申請には年齢で線引きしないと言いながら、75歳未満の方には説明会などで対象外だと説明している問題です。
難病を持つ60代の女性入居者は、闘病していた夫をみとった直後から、県の担当者から住替えを迫る電話が頻繁にあり、病気や通院のこと、様子を見に来てくれる息子家族から遠くなることを説明しても、年がお若いしと言われ続け、仕方なくあっせん住宅に2回応募しましたが、落選。最近は遠く離れた住宅を提示され、断ったとのことです。住宅の80代、90代の入居者が頼りにしている存在です。私がお話をお伺いしているちょうどそのときにも清掃業者が尋ねてきました。自治会長ではないのに、若いということで対外的な窓口にもなっておられるのです。この方がいなくなればとても不安だというのが80代、90代の入居者の思いです。
別の住宅の男性は70代ですが、住宅の中では若い方です。先ほどの方と同様に、他の入居者から頼りにされています。先日、住宅で行われた判定の説明会では、冒頭この方ともう一人を名指しで、75歳以上の方が対象の話なので、Aさん、Bさんには関係のない話ですと言って始めたとのことです。近くに仕事もあり、古くからの友人たちもいるこの場所を離れての生活は考えられないと途方に暮れておられます。
このような75歳未満の方たちに対し、事情さえも聞こうとせず、機械的かつ一律に若いから対象外だと強く言い、判定委員会への申請を諦めさせています。知事が繰り返し強調してきた入居者の事情を第一にきめ細かく弾力的な対応を進めるという答弁と明らかに違うではありませんか。
知事、判定委員会の運営の改善、75歳未満の借上住宅入居者に対して、判定委員会に申請できないと思わせる説明や働きかけはやめることを強く求めます。いかがでしょうか。
まちづくり部長(小南正雄) 私の方からUR借上住宅の継続入居についてお答えいたします。
UR借上県営住宅につきましては、原則として契約期限までに都市再生機構に返還することとしております。期限後は県営住宅として提供できないこととなるため、入居者には他の県営住宅に円滑に住替えていただくよう相談支援を行っているところでございます。
そうした中、高齢者や障害者などの世帯だけでなく75歳未満の世帯につきましても、特別な事情が判定委員会で認められれば、継続入居を可能としております。入居者にもその趣旨を説明してきたところでございます。
今後とも入居者に対し、75歳未満の世帯からの判定申込みは受け付けない、そういった印象を与えることのないよう丁寧に説明を行ってまいります。
また、判定委員会の運営につきましては、医療や健康状態といった個人情報を取り扱う性質上、公開には支障がございます。また、書面によります意見表明であれば現在でも可能でございまして、意見表明の機会は十分に確保されております。
判定委員会では、本人からの住替え困難な事由の申し立てに加えまして、かかりつけ医の意見書や事務局による入居者や関係者への面談結果などの資料に基づきまして、専門的知見から入居者の個別の事情を十分に検証、審議し、公正に判定しております。今後とも入居者の事情を第一に考え、きめ細かく弾力的な対応を進めてまいります。
タバコ対策について
きだ結議員 最後に、たばこ対策についてです。
厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会は9月初めにまとめた報告書で、肺がん、胃がん、膵臓がんなど10種類のがんのほか、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病など22種類の病気の発症や死亡要因と喫煙の関係について因果関係があるのは確実と評価をしています。
また、受動喫煙について、子供のぜんそくや乳幼児突然死症候群との関係についても確実と評価しました。国の検討会が日本人への影響を総合的に判定したのは初めてのことです。
報告書によると、喫煙による年間死亡数は日本では約13万人、受動喫煙では約1万5,000人と推計されています。
兵庫県の喫煙率は全国と比べ少し低いものの平成25年度で男性31.2%、女性8.7%です。県民の健康と命を守るため、受動喫煙の防止、禁煙支援、若い世代への喫煙防止対策を更に推進すべきではないでしょうか。
一つは禁煙支援です。
禁煙治療に従事する医師に聞くと、家族からの声かけのほか、健診などでの一、二分のアドバイスも禁煙に踏み出すには有効とのことです。そこで、県作成のパンフなどを活用して、各種検診の場で喫煙者に対して短時間でも必ず禁煙を勧めることを位置づけ、実際に喫煙率を平成29年度の県目標10%に近づける取組を強化すべきだと思います。また、企業が社員の禁煙を重視して取り組む仕組みを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
二つに、次の世代に吸わせない取組です。
加古川市では、医師会が禁煙広め隊を作り、10年以上防煙教育が行われています。これが大人にも波及して、加古川市の喫煙率は2022年の国目標12%を切る11.6%となっています。丹波市でも2002年から保健師を中心に最初の1本を吸わせないと、小学5・6年生や中学1・2年生を対象にした防煙教室に力を入れてきた結果、喫煙率が全国より低くなっています。県の防煙教室は昨年度全県で小・中・高合わせて45校2,817人にとどまっています。全児童生徒を視野に入れた防煙教室を県全体に広げていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
三つ目に、受動喫煙防止の推進です。
兵庫県は都道府県で2番目となる受動喫煙防止条例を平成24年に制定しました。条例で禁煙または厳格な分煙が義務づけられた客室面積100平米を超える宿泊施設や飲食店等については達成率が92.1%となりましたが、努力義務とされている客室面積100平米以下の宿泊施設、飲食店等については、対策しなくてもよいことになっています。2年後の条例の見直しでは、更に実効性あるものに高めないといけないと思いますがいかがでしょうか。
以上、答弁を求めます。
健康福祉部長(太田稔明) 私からは、たばこ対策についてお答えを申し上げます。
県民の皆様の健康寿命1年延伸を目指すためにも、たばこの影響から県民の影響を守るということは特に重要でございます。
まず、ご指摘の禁煙支援でございますが、一つには、健診後の特定保健指導時の禁煙指導の徹底あるいは妊産婦に対して保健師が行う妊娠の届け出時の健康相談あるいは両親教室、両親の教室でございます。三つ目には、従業員の健康づくりに積極的に取り組んでいただいております健康づくりチャレンジ企業、現在721社ございますが、この企業が行っていただく禁煙教室の費用助成等を実施をいたします。
次の世代、若い世代の喫煙防止対策につきましては、これまでから、一つには健康福祉事務所による小中学校あるいは高校での防煙教室、二つには教職員の方を対象とした防煙教育研修を行っておりますので、これを今後広く進めていきたいと考えております。
また、27年度からは県内の小学校5年生全員にたばこの影響あるいは親への禁煙の働きかけ等について考えてもらうリーフレットを配布をいたしております。
三つ目の受動喫煙防止の推進でございますが、一つには、条例に基づき禁煙または分煙の対策を講じていない飲食店等への改善の指導、二つには、客室面積100平米以下の飲食店には禁煙可否ステッカーの店頭表示の指導を行っております。また、喫煙可能としている飲食店等には、受動喫煙対策を促すメッセージカードを配布するような県民運動にも取り組んでまいります。
2年後の条例の見直しに当たりましては、お話ございましたように、100平米以下の小規模な飲食店も含め、各種民間商業施設の喫煙環境、禁煙、分煙、時間分煙、喫煙可などの実態調査あるいは専門家等のご意見も踏まえまして、受動喫煙防止のために、より効果的な対応を検討してまいります。
今後も市町や関係団体との連携を図りながら、たばこによる健康被害の防止に向け鋭意取り組んでまいりたい、そういうふうに考えております。よろしくお願いいたします。
きだ結議員 2点再質問をさせていただきます。
1点目は、たばこ対策ですけれども、先ほど特に防煙教室として小5にたばこに関するリーフレットを作って全員に配布したということなんですけれども、どういうふうに活用されたんですかというふうにお聞きしますと、それは分かりませんということですので、せっかく作ったのに例えば配って持って帰ってるだけだったら本当に効果もありませんので、やはり一番いいのは何らかの形で学校の授業としてそれをしっかりと位置づけていただくということなど、ちょっと活用についてもぜひ方針も持って徹底をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
そして2点目に、先ほどUR借上住宅ですけども、75歳未満の方について先ほども紹介しましたように、もう申請できないんだなと、申請してはいけない、申請しても無駄だなというふうに思わせるようなことをやはりこれまでされてきましたので、今ご答弁でそういうことがないようにしていきたいというお答えでしたが、再度そのことも、そういう働きかけはしないということも確認をさせていただきたいんですが、知事、いかがでしょうか。
知事(井戸敏三) 実態の受け止め方はともかくとして、75歳以下でも特別な事情があれば、判定委員会で十分審議した上で結論を出させていただきますということは、もう周知徹底しているはずですので、その趣旨に即した取扱を更に徹底するようにしていきたいと思っております。
小5のリーフレットの活用については太田さんの方からお答えいただきます。
健康福祉部長(太田稔明) リーフレットでございますが、ご存じのように小学校5年生というのは、ちょうど学校保健でこういうアルコールの問題とかございますので、このときに県下818校5万人の小学生を対象に配りました。
今おっしゃるように、なかなか一つは、小さい時から子供さんにたばこの問題について語っていただくということと、それをおうちに持って帰っていただいて親にもお話しをいただいて、受動喫煙なり喫煙を減らそうということでございまして、我々としては非常にこれが活用されておると思っておったんですが、そういうご意見があれば、一度、結構数年かけて配布いたしておりますので、そのようなご意見があるということで、一度実態は見てみたいと思いますが、ただ我々としては、かなり818校全部に配って家庭に持って帰っていただいてというような効果も期待しておりますので、それが再度徹底されるようにまた検討したいと思います。よろしくお願いいたします。
きだ結議員 今知事からご答弁ありましたように、75歳未満の方であっても判定委員会でしっかり判定をする、その前で区切ることはしないということもありましたので、ぜひ現場の方でそれを徹底をしていただきたいと思います。
それから、リーフレットについてはしっかりと把握をしていただいて、せっかく私も見せていただきましたが、非常に良いリーフですので、やはり医師の方もおっしゃってましたけども、子供さんから言われるのがやはり一番やっぱりやめようという一歩になるということも言われていますので、ぜひその辺でも喫煙されてる方の健康をやっぱり守っていくという立場でそういうことも推進をしていただきたいということも申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
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週1~2回、子育て支援を中心に政治・社会問題の諸情報を提供いたします。
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