2022年度予算特別委員会

2022年03月09日

○きだ　結委員　日本共産党のきだ結です。

痴漢対策について伺う。

痴漢は最も身近な性犯罪、性暴力である。痴漢に遭ったことでショックで電車に乗れなくなったなど、一生にわたる傷を負う場合もあるほどである。絶対に許されない。

痴漢は路上やバス車内、男性の被害もあるが、今回は電車での、また被害の大多数を占める女性への加害を抑止する観点で質問する。

そこでまず、痴漢はどういう犯罪なのか、痴漢ぐらいという軽いものなのか、県警察の認識を伺う。

○きだ　結委員　重大で卑劣な性犯罪という認識とのことである。そのとおりだと思う。

次に、直近の県内の痴漢の認知件数、それから検挙件数を伺う。

○きだ　結委員　今の答弁のとおりだが、今、聞きた人は数として非常に少ないと感じたのではないかと思う。

令和２年犯罪白書によると、令和２年、2020年の迷惑防止条例違反の痴漢事犯の検挙件数、これは電車以外で行われたものも含めてであるが、全国で1,915件と言われており、こうすると全国で１日５件しか起こってないということになる。

本当に実態はどうかと言うと、日本共産党が2020年８月から11月に実施した痴漢被害アンケートによると、被害に遭ったときどうしたかという質問に対し、何もできなかった、怖くて反応できなかったが９割を超えた。これは、2010年に警視庁が行った調査で、痴漢被害者の９割が通報していないという結果と同じである。

つまり、警察などの公的機関が認知できている痴漢事犯の件数と、実際に起きている件数との間に大きな差がある、表に出てこない数があるということである。

痴漢の場合、少なく見積もっても約10倍の差があると言われている。これは、痴漢に遭ったと周りに告げたときに、触られただけでしょうとか、春は変な人が多いからねと済まされたり、勇気を出して駅職員に通報したけども、勘違いではないかと言われたり、警察では聞き取りに警官が入れ替わり立ち替わり来て何度も再現させられた、これらの経験や痴漢被害に対する過小評価が多くの女性の口を塞いできたと思う。

痴漢加害をしても、まず、通報されることも逮捕されることもない状況がつくられたと思う。

犯罪白書平成27年版によると、初めて痴漢行為を行った年齢の平均は33.1歳、逮捕されたときの年齢の平均は41.4歳という統計が出ている。この８年間の年月は、他の性犯罪と比べても最も長く、この間に無数の被害者を生んでいるということである。

海外では、日本への渡航情報として、日本の電車には痴漢というものがあるから気をつけるようにとの注意喚起を行っている国まである。非常に恥ずかしい状況である。

痴漢加害は許さない、痴漢撲滅の機運を醸成すべきだと思う。

痴漢は１年中あるが、昨今、受験生を狙った痴漢行為をあおる投稿、特に大学入試共通テストの受験生に痴漢加害をあおるＳＮＳ投稿があることを私は昨年末、地元の知人女性から聞き、知った。その後の人生に大きな影響を与える入学試験の日に、遅刻できないからといって声を上げられないだろうと、その受験生をターゲットにする痴漢加害、そしてそれをあおる投稿という本当に卑劣な行為を絶対に許せないと思った。

そこで、私たち日本共産党は、共通テストに間に合わせるべく、ＪＲ、阪神、阪急、神戸市交通局、神戸新交通など鉄道会社に警備の強化や、痴漢は犯罪というアナウンスを車内、構内に行うことなど、痴漢加害を生まない対策を申し入れた。

同時に、１月７日の県議会政務調査会で、また後日、議員団として兵庫県警に対して、受験生を痴漢から守るための警備の強化を、また電車内、構内のアナウンスを行うことを警察からも鉄道事業者に働きかけてほしいと強く求めた。

そこで、今回の受験シーズンに、兵庫県警察はどのような取組をされたのか伺う。

○きだ　結委員　例年以上に、鉄道警察隊と、あと交番勤務員からも配置をしてもらったということ、鉄道事業者に働きかける数も増やしてもらったということで、本当に感謝を申し上げる。

鉄道事業者の反応、私たちが申入れしたときの反応は本当にまちまちで、痴漢対策を重視していますという事業者もあれば、痴漢対策と言われてもほかにもたくさん迷惑行為があるからという事業者や、車内はもちろん構内でも、痴漢は犯罪という当たり前のアナウンスまで不快に思われるお客様もいるからと抵抗される事業者もあった。本当に驚いた。

それが、先ほども答弁があったように、兵庫県警察からの要請と、痴漢は犯罪との音源を迅速につくって配布してもらったことで、この鉄道事業者の姿勢が一気に変わった。消極的だった鉄道事業者が、痴漢・盗撮は悪質な犯罪です、見かけた方、また被害に遭われた方は110番、または被害相談所に連絡を、痴漢・盗撮撲滅にご協力を、というアナウンスを流したりした。

痴漢を捕まえるのは自分たちの仕事ではないと思っている事業者もあって、警察の働きかけが決定的だと私は今回本当に実感した。

そこで、痴漢撲滅に向けて、更なる役割を果たしてほしいと思う。まず、鉄道事業者に対し、痴漢は犯罪というアナウンス、これを構内だけでなく車内に流してもらうように求めてほしいと思う。また、多くの鉄道事業者で、受験シーズンの３月末まででこれらのアナウンスを終えようとしているので、続けるように要請をしてほしい。

二つに、日常的な痴漢パトロールをお願いしたいということと、痴漢は犯罪というメッセージ、痴漢被害者は何ら悪くない、警察は痴漢加害を見逃さないというメッセージを動画や音声、ポスターなどで強く発信することを求めたいと思っている。

その点で、今ＪＲ構内などで流されている県警作成の、痴漢は絶対見逃さないという動画の改善を求めたいと思う。現在のこの動画はその多くを、ドア付近に立たないでとか、スマホに熱中して被害に遭っている可能性もあると、女性に注意を呼びかける内容になっている。しかし、それは女性が油断しているから被害に遭う、油断した女性が悪いというメッセージになってしまっている。そうではなく、痴漢被害者や現場に居合わせた人に、鉄道係員や警察に通報を呼びかける内容の動画、啓発広告を作って普及をしてほしいと思っている。

県警から、通報、情報提供で犯人の検挙が可能です、被害をなくすために通報をお願いしますという呼びかけがあれば大変有効だと思う。

以上のことについていかがか。

○きだ　結委員　ぜひ取組を強めてほしいと思う。

先ほど申し上げた動画の内容について、やはり痴漢は加害者が絶対に悪い、そして通報していただけたら警察は絶対に動くということをメッセージとして発信してもらうことが、被害者に通報していいんだとエンパワーメントすることにつながって、周辺の通報の協力など行動を促すことにもつながるし、また痴漢加害者には、捕まるリスクを感じさせるもので加害をしにくくなる。

あわせて、痴漢対応マニュアルを鉄道事業者と共有してもらったり、鉄道事業者と一緒に痴漢対応の訓練をしてもらったり、警備強化のために鉄道警察隊の増員などを強く要望したいと思う。どうぞよろしくお願いする。

ありがとうございました。