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2018年度決算特別委員会

10月7日 財政状況…地方消費税 消費税10%増税中止 法人県民税収の一部国税化 法人事業税 大企業への法人税率引き上げ 消費税減税 人件費 人員削減

2019年10月07日

○きだ 結委員 日本共産党のきだ結です。

初めに、県税収入についてお伺いする。

10月から消費税10%への増税が強行された。増税された10月1日前後、業者団体には廃業を決めたという事業者から次々連絡が入っている。神戸市兵庫区で雑貨店を経営している73歳の店主さんは、9月末に廃業を決めて、店を閉められた。高齢者の多い地域で、トイレットペーパーなどの雑貨を安く仕入れて安価で販売し、お客さんからも喜ばれる店だったそうである。イオンなど大手への物流が主となり、個店に品物が入ってこなくなったこと、キャッシュレス対応ができないこと、10%増税での新たな負担などに悩み、閉めないでとの声もあったそうだが、やむなく店を畳んだそうである。複数税率やポイント還元等でも小売業は大きく混乱している。消費税の10%への増税は今からでも中止すべきだと考える。

2018年度決算を見ると、地方消費税収が県税収入の大きな柱になっている。消費税は2014年に5%から8%へ増税され、2018年度の県税収入7,147億6,600万円のうち、地方消費税収は1,954億2,000万円、率にして27.3%を占め、法人関係税収を大きく上回っている。

そこでお伺いする。消費税が8%になったことで地方消費税の増収は幾らになるのか。2018年度分、そして増税以降の累積額をそれぞれお答え願う。

○税務課長(森下二三哉) 平成26年4月1日に引き上げられた地方消費税増税分0.7%の増収額は、平成30年度は804億6,900万円、平成26年度から平成30年度までの累計額は3,334億1,900万円となっている。

○きだ 結委員 私が事前にお聞きしていた数字と少し違うが、今のお答えでは2018年度が804億円、2014年の増税以降合計で334億円とのことである。県民1人当たりに割り戻すと、2018年度だけで年約1万5,000円。しかし、これは先ほどもおっしゃった3%増税分のうちの県に納入される0.何%分の額である。増税された3%全体で言えば、1年間で1人当たり約6万5,000円の負担増、増税後5年間の累積では県納入分約6万1,000円、3%増税全体で約26万円が子供も含めて新たに負担していることになっているのである。

この負担が重くのしかかり、総務省の家計調査からの直近の1年の平均の実質消費支出を見ると、年換算で343.4万円、増税前の2013年平均363.6万円から20万円以上も下落している。

県民の消費が冷え込むもとで、中小業者の売り上げが落ち込んでおり、8%増税後、消費税の新規発生滞納額が増税前の2013年の2,814億円から、直近2017年には3,633億円と1.3倍に増加し、消費税が払えない、店を畳むしかないと業者さんから悲鳴が上がっている。

44歳で開業3年目の明石市のイタリアン店の店主からは、ことしゴールデンウィーク明けから急に客足が遠のき始めた、財布のひもが固くなったと感じる、10%になればもう景気回復は見込めない、これ以上やっていけないと廃業を決めたなどの報告が寄せられている。

共同通信社が10月5日、6日に行った調査では、増税後の日本経済の先行きについて不安と答えた人が70%、軽減税率は複雑だと答えたのが82%にもなっている。消費税の増税は県民の生活を縮小させ、中小企業の営業にも大きな影響を及ぼす税金だと言わざるを得ない。

たとえ税収を確保することができても、県民の生活を破壊するのでは本末転倒ではないか。井戸知事は本会議で消費税10%への増税は経営努力のチャンスだと答弁されたが、とんでもない。県行政の役割は県民の福祉向上であって、国言いなりに県民から税金を搾り取ることではない。改めて10%への増税中止を国に求めるべきだと考えるが、いかがか。

○税務課長(森下二三哉) 消費税の増収分は社会保障の安定財源の確保等を図るために充てられ、幼児教育・保育の無償化等の施策も消費税率引き上げを前提に既に実施されている。

既に2回も先送りされた消費税率の引き上げは、今回は実施して、安定財源の拡充を行うことが今後の日本の財政構造の安定化にとって必要な措置であると考えている。

○きだ 結委員 財政の安定化や社会保障の財源を確保することはもちろん必要である。しかし、頑張っている中小業者の営業力を奪う、あるいは子供から高齢者まで広く負担させる消費税を税収入の中心にしてしまって本当にいいのかということである。税収の中心を消費税からほかに移すべきである。

次に、2014年の消費税の増税に伴い、地方消費税の増収によって拡大する地方自治体間の税収格差を是正するとして、地方法人税法が成立し、法人県民税法人税割の税率などの変更があったが、この仕組みはどういうもので、法人県民税法人税割の税率がどう変更され、法人県民税収は年間、そして累積どのくらいの変動があったのか。

○税務課長(森下二三哉) 平成26年度の税制改正は、法人県民税法人税割の一部を地方交付税原資化とする改正である。法人県民税の所得割の標準税率5%から3.2%に引き下げられた。

この改正は平成26年10月1日以後に開始する事業年度分から適用となり、法人県民税から地方法人税に振り替えられた額は、単年度で約62億円である。

○きだ 結委員 今お答えいただいたように、法人県民税法人税割の標準税率が5%から3.2%、超過税率は5.8%から4%に変わっている。額については今、年間大体62億円だということで、累積のお答えがなかったが、大体300億円程度ではないかと思う。地方消費税の増収と引き換えに法人県民税は目減りしているということである。

この地方法人税の導入の目的は、消費税を地方財政の主要財源として整備、定着させるものである。法人住民税の法人税割を地方間の税収の水平調整のために一部国税化して、地方交付税として配分されているということだが、地方の自主財源を取り上げるやり方は本末転倒である。地方公共団体間の財政力格差の是正は、本来、国、地方間の税源配分を是正し、地方税財源を拡充していくこと、地方交付税が本来持つ財源保障機能と財源調整機能を発揮させる中で行われるべきものである。

そこで、法人県民税収を従来の規模に戻すために、法人県民税収の一部国税化をやめさせるよう国に求め、税率をもとに戻すことを求めるが、いかがか。

○税務課長(森下二三哉) 法人県民税については、地方法人課税の偏在是正のため、法人税割の一部が地方法人税として国税化された。地方法人税の税収はその全額が地方交付税の原資とされており、地方全体としては法人関係税の税収自体は変わっていない。

法人関係税のあり方や地方法人課税の偏在是正については、国においてさまざまな角度から適切に検討されるべきであると認識しているところである。

○きだ 結委員 繰り返しになるが、財政の格差は、国、地方間の税源配分を是正して、地方税財源を拡充することを求めて、次に進む。

法人関係税についてもう一つお聞きする。いただいた資料の中で、法人事業税が2008年1,798億円から2009年の981億円に大幅な減収になっている。この要因は何かお答え願う。

○税務課長(森下二三哉) 2008年、平成20年度であるが、法人事業税の偏在是正を目的として、法人事業税の一部を創設された国税の地方法人特別税とした上で、その税収全額を都道府県に再配分する改正が行われた。この改正は平成20年、2008年10月1日以後に開始する事業年度分から適用となるため、改正影響は翌21年度から発現してきている。

平成21年度の減収は、この税制改正影響のほか、世界的な金融危機、いわゆるリーマンショックにより企業業績が急激に悪化した時期でもあり、その影響もあったものと考えている。

○きだ 結委員 さまざまな理由は述べられた。そもそも地方法人特別税導入の根拠も、都市と地方の格差拡大を防ぐとして、法人事業税の税収を国税化し、譲与税として再分配されるというものである。しかし、都市と地方の格差は、地方税だけでなく、地方交付税の削減によって財政力の弱い自治体にしわ寄せが行ったことによるものであり、格差是正のために地方税の一部を国税化するのは誤りだと我が党は当時から批判してきた。

先ほども述べたが、地域格差解消のために地方交付税の復元、増額を抜本的に求めることが必要であり、地方の自主財源を国税化するべきではないと考える。この法改正のとき、法人事業税の税率が大きく引き下がっており、その後少し復元されるが、特に外形標準課税対象法人の所得割年所得800万円超の大企業で、ある程度利益が上がっているような部分でも、税率が0.88%と低いまま推移をしている。一方、法人税が課税されない赤字法人や利益が少ない法人にも重い税負担となる外形標準課税の税率はこの間引き上げられている。税金の集め方は支払う能力のあるところが応分に負担、応能負担が原則だと考える。

そこで、特に外形標準課税対象法人の所得割年所得800万円超企業など、稼いでいる大企業の所得割税率を引き上げ、外形標準課税は以前に戻すことを求めるが、いかがか。

○税務課長(森下二三哉) 法人事業税の一部国有化は、地方法人課税における税源の偏在を是正することを目的として行われたものであり、これを法人事業税に復元することは偏在性を復活させることにほかならず、現在の地方税収の状況を見ると適当ではないと考える。

なお、法人事業税は、法人の応益性に着目した税であり、外形標準課税はこうした応益課税としての性格を明確化するとともに、事業規模に応じて税負担を求めるといった公平性の確保を目的に導入されたものであるから、外形標準課税の税率を引き下げることは、法人事業税の性格を損なうものであると考えている。

法人に対する税負担のあり方については、国においてさまざまな角度から適切に検討されるべきと認識している。

○きだ 結委員 繰り返しになるが、地域格差解消のためには、地方交付税の復元、増額を抜本的に求めることが必要であって、地方の自主財源を取り上げて国税化するべきではないということも改めて申し上げる。

税の負担は、生活を切り詰められた県民から、あるいは頑張ってぎりぎりのところで営業している中小企業に求めるべきではない。消費税導入前は42%であった法人税の税率は今や23.2%、研究開発減税などを加味すると、大企業は10%程度の法人税しか今負担をしていない。2018年度の内部留保450兆円、これだけの額をため込んでいる大企業から応分の負担を求めることこそ今必要だと思う。

そこで、大企業への法人税の実質税率を抜本的に引き上げること、緊急経済対策のために消費税10%をやめ、税率を5%に戻すことを国に強く要請することを求めるが、いかがか。

○税務課長(森下二三哉) 地方財政全体としては、大幅な財源不足が常態化しており、行革努力だけでは抜本的な解決は困難である。したがって、財政の健全化と社会保障の安定財源の確保を同時に達成することを目指す観点から、消費税率は今の10%・・・そうなのかなと考えている。

法人税も含めた法人に対する税負担そのもののあり方においては、やはり国においてさまざまな角度から適切に検討されるべきものと考えている。

今後とも、国、地方の安定財源の確保のため、所得、消費、資産のバランスのとれた税制の構築を国に求めていきたいと考えている。

○きだ 結委員 もちろん税収の確保は必要である。そして今、社会保障の財源についても触れられたが、日本医師会会長は、この社会保障の財源について、消費税の一本足打法ではなく、新たな税財源についても併せて検討すべきだと述べておられる。県民あるいは中小業者の皆さんの暮らしと営業実態にぜひ思いをはせていただき、県民の福祉向上のために必要な税のあり方を検討し、消費税の減税、大企業への法人税増税など必要な施策を国に提言することを改めて求めて、次に移る。

次に、歳出の人件費についてである。

2018年度は新行財政改革プラン最終年度として、いわば行革の総仕上げとする財政運営が行われてきた。その中で、事務事業の廃止・縮小や組織の再編により一般行政部門の県職員の概ね3割削減を掲げ、進めてきた。

そこで、2018年度の一般行政部門の削減数と、その結果、新行革プラン全体で削減してきた職員の人数をお答え願う。

○人事課長(唐津 肇) 一般行政部門における職員の削減数についてお答え申し上げる。

平成29年度から平成30年度にかけて一般行政部門の職員削減数は133人である。

次に、行財政構造改革期間中における一般行政部門の職員の削減数は2,484人である。

○きだ 結委員 今お答えいただいたとおりだと思う。2007年には8,279人であった一般行政部門の県職員が、2018年度では5,795人となる大幅な削減をこの11年間県は進めてきた。地方組織も、現地解決型の総合機能を持つとされる県民局は7県民局と3県民センターとなり、1圏域1事務所体制にという方針のもと、地方事務所も主なところで健康福祉事務所が25から14に、農業改良センターが22から13に、土木事務所は22から13となっている。

そこでお伺いするが、これによって県民サービスという点でさまざまな弊害が生まれていることを懸念する。県として人員削減あるいは事務所の削減により生まれている弊害として認識していることはないのか。

○人事課長(唐津 肇) 行革プランに基づく定員削減については、業務の効率化や事務事業の見直しによる業務量の削減の取組と歩調を合わせて実施してきた。

職員の配置に当たっては、業務量に応じたものとするということが基本である。これまでから、法令等に基づく配置基準があるものについてはその基準に基づき、それ以外のものについては、班単位で事業の新設・廃止の状況、あるいは許認可・検査業務の処理件数などを踏まえ、年間の業務量の増減等を精査し、業務量に応じた人員を配置してきた。

行財政構造改革期間中にあっても、これらの取組により、全体としては業務量に応じた定員配置を実施してきた。他府県と比較しても遜色ない行政サービスを提供させていただいていると考えている。

○きだ 結委員 業務量の削減と人員の削減をセットにしているから問題ないんだというお答えだったと思う。

昨年、我が党の追及で、2007年の高潮浸水想定の際に使われた護岸高が誤りだったことが判明したが、そのことがずっと見過ごされてきたのは、人員削減とも無関係とも言えないのではないか。

健康福祉事務所では精神保健等専門分野ごとに圏域事務所に人員を複数配置することが困難となり、所管する圏域を越えて広域に担当するように求められている。検査室などの圏域越えの統廃合により、検体の提出など、県民の利便に対しサービスの低下につながっているとの指摘もある。

人員削減し、業務委託をしていることで、連携がうまくいかずに後手後手になっているケースも報告されている。加古川水系の曇川排水機場が一昨年度から民間委託されている。それまでは県の職員がほぼ常駐体制でやっていたそうだが、民間委託により、災害時に連絡をとり、民間業者に対応してもらうことになっている。委託に先立って機器が更新されているが、昨年の台風時にその機器が故障し、民間業者との連携がうまくいかず、運転に障害が生じたと聞いている。県の職員の対応であればもっと機敏に連携し対応できるものが、民間委託していることで、今後の増大する水害リスクに対応できるのか、住民の不安が広がっている。

また、県職員にも長時間残業などの弊害が起こっている。2018年度の港湾課の勤務実態をいただいたが、4月から8月の超過勤務時間は月平均が35.3時間であるのに対し、台風災害で大変な時期であった9月から12月の超過勤務時間の月平均は、過労死の危険が高まると言われる60時間を超える66.1時間と倍近くになり、この期間、1人が体調不良で休養を余儀なくされていると報告されている。

公務員は国民全体の奉仕者として、国民の生活と権利を守る重要な役割を担っている。しかし、地方公務員が県民サービスのために力を発揮するには、適切に人員が配置され、連携や継承などがきちんとなされることが必要であり、11年間で約2,500人もの人員削減は、他に例を見ない職場壊しだと言わざるを得ないのではないか。

そこで、人員削減の影響を、最も対応力が問われる過去の災害時などの勤務実態等から検証し、県民の福祉向上という県行政の本来の役割を発揮させ、県民の命と安全を守り、頻発する災害に対応するためにも、必要なところに必要な人員を確保するための予算増、人員増を求めるが、いかがか。

○人事課長(唐津 肇) 行財政構造改革後の業務執行体制については、行財政運営方針のもと、総枠としては定員を維持していくことが基本となる。

全庁的な事務改善を推進し、業務執行の簡素化、効率化に取り組むとともに、先ほどお話があった災害復旧などについても、県民の安全・安心に直結する分野や、そのほか児童福祉等の当面の行政課題について重点的に職員を配置するなど、時々の行政課題に的確に対応できる体制の確保に努めてまいりたいと考えている。

併せて、効果的な業務執行を行うことについては、職員がその持っている能力や資質といったものを最大限発揮するということが不可欠になってくる。このため、職員一人ひとりが高い士気を持ち、能力を発揮できるよう、適材適所の人員配置や職員のワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境づくりに取り組むなど、県民サービスの維持向上が図られるよう意を用いてまいりたいと思うので、どうぞよろしくお願いする。

○きだ 結委員 災害対応時というのが、一番やはりこの体制でいいのかということが問われるときだと思う。新行革プランの人員削減は、今、審査中の2018年度で終わるが、改めて県民サービス向上のためにも、公務員としての役割を更に発揮できるようにするためにも、専門職などを含めた必要な人員配置はやはりしっかりと検討していただいて、人員増を行うことを再度求めて、質問を終わる。


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